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救援連絡センター【#郡山通信/番外編】原発いらない金曜日!ミニ集会に職務質問

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国家権力による弾圧に対しては、 犠牲者の思想的信条、 政治的見解の如何を問わず、 これを救援する。



郡山通信/番外編

脱原発ミニ集会に職務質問


八月三一日の夕刻七時三〇分頃のこと。毎週恒例の「原発いらない金曜日!JR郡山駅前ひろばフリートーク集会」を終えて、ベンチで幟やマイク類などを片付けていて、ふと気づくと、集会の開催スポット、放射線モニタリングポストの側にしゃがんでギターやネット映像放送機材を片付けていた集会仲間を男性三名と女性一名の警察官らが取り囲んで見下ろしていた。郡山市民や旅行者らも横目でにらみながら行き交っている。


集会世話人の筆者が現場に寄ってみると、小太りして威圧的な中年の男性警官が取り仕切っているらしく、「なんの目的か?」「どこから来た?」などなど、くだらない質問を次々と繰り出すばかり。


問答を続けても埒が明かないので、バックパックから郡山市長の公印が押された「駅前広場使用許可書」を取り出すと、警察官はシゲシゲと公文書を見つめ、「音響設備の使用が無しになっているじゃないか」。「それは使用料金を郡山市に納付したうえで、広場管理を請け負っている警備会社から借りてくる設備のことだ」と説明しても納得しない。だが、そもそも許可書の上欄に、使用目的「原発はいらないことを広く訴えるための街頭啓発活動」、具体的内容「手作りプラカード・バナーを掲げる。一人ひとりが『脱原発』の思いを簡易マイクを使って発言」と明記されているのだ。


使用許可書を確認したことで形勢逆転、警官らは「ボリュームをあまり上げないように」と捨てぜりふを残して退散。だが、市民の広場利用は自由気ままであり、若者や時には初老の男までもが目立ちたいのか、大音量でポップミュージックをランダムに流しているが、まったくおかまいないなし。


この集会が始まったのは二〇一二年の夏、フクシマ核惨事後で初めて大飯原発の再稼働をめざした野田政権に抗議して毎週金曜日、首相官邸前に最大一〇万人規模の人びとが結集した「紫陽花革命」に触発され、全国各地に金曜日脱原発集会が拡散したころだった。


それ以来の七年間、時には若い女性が「オメェ、どこに勤めてんだ」と脅されたり、中年男から「お前たちみたいなのがいるから、駄目なんだ」と怒声を投げつけられたりしたことはあっても、警察官に職務質問めいた扱いを受けたのは今回が初めて。


東京二〇二〇五輪まで二年を切って、福島県内のいわゆる「風評払拭!」のため、原子力規制委員会が街角のモニタリングポストの撤去を提案し、東京電力と経産省が福島第一原発敷地内に貯蔵されている大量の汚染水の海洋放流処分を画策している今、わたしたちのミニ集会さえも「福島復興!」を邪魔する存在に見られていると考えても被害妄想ではないはずだ。


(井上利男。原発いらない金曜日!郡山駅前フリートーク集会・世話人。ブログ「#原子力発電_原爆の子」、ツイッター:FukushimaWatch@yuima21c



LabornetTV(レイバーネット)2015116日撮影



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20181014日日曜日

公聴会の配布資料によれば、トリチウム水タスクフォースが示した処分方法は、①深度二五〇〇メートルの地層に注入、②希釈し、海洋に放出、③蒸発処理し、高温水蒸気として大気に放出、④電気分解して、水素を大気に放出、⑤セメントなどで固形化して地下構造物に埋設であり、一押しは言うまでもなく、一番安上がりの②海洋放出処分。

[注]すべての案に、枕ことば、または原発マフィアの常套句で「安全性を確保した上で」と断り書きされているのが笑わせる











英紙ガーディアン【オピニオン】兵器化AI――アルゴリズム恒久戦争がわたしたちの未来なのだろうか?

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兵器化AIが登場する。アルゴリズム恒久戦争がわたしたちの未来なのだろうか?


ベン・ターノフ


米国軍はさらに自動化した形態の戦闘力――どこでも、いつまでも戦う能力を大きく高める戦力を創造している


20181011 10.00 BST


米軍はとても長期にわたりアフガニスタンに駐屯しており、攻撃後に生まれた子どもがその地の戦いに赴ける年齢になったほどである。Photograph: Getty Images


先月で9.1117周年になった。それとともに、新たな節目が到来した――わが国の軍はとても長期にわたりアフガニスタンに駐屯しており、攻撃後に生まれた子どもがその地の戦いに赴ける年齢になったほどである。その子たちはまた他にも、特殊作戦部隊が任務を遂行した2018年上半期だけでも133か国に達する国ぐにのことは言わないでも、わが国が公式に戦争している6か所で就役することもできる。


9.11戦争は継続していて、終わりは見えない。ペンタゴンはいま、戦争を激化させるテクノロジーに多大に投資している。米国軍はテクノロジー産業が提供する最新ツールを愛用して、さらに自動化した形態の戦闘力――どこでも、いつまでも戦う能力を大きく高めるテクノパワー――を創造している。


国防総省は105日、史上最大規模のテクノロジー契約のひとつ、共同事業防衛基盤(JEDIJoint Enterprise Defense Infrastructure)の入札を締め切った。JEDIは、ヴァージニア州のデスクに座っている分析官からニジェールで巡回中の兵士たちまで、世界中の米軍戦力に役立つクラウド・コンピューティング・システムを構築するという野心的なプロジェクトである。契約の額面は10年間で100億ドルほどの巨額になり、だからこそテクノ大企業は勝ち取るためにしのぎを削っている。(と言っても、Googleは別で、経営陣が労働者側の圧力に押されて、受注競争から降りた)


一見しただけでは、JEDIは新手のIT現代化プロジェクトにすぎないと思えるかもしれない。政府の情報技術は、ペンタゴンのような気前よく予算配分されているお役所でさえ、シリコン・ヴァレイから周回遅れである。国防総省のデジタル機器実装システムの規模は、340万人のユーザーと400万台のデヴァイスを抱えて巨大である。その作業負荷量の一部だけでも、Amazonのようなクラウド・プロバイダーに移せば、疑いなく効率が向上するだろう。


だが、実戦力を動かすJEDIとは、国防総省が「アルゴリズム*戦争」と呼びはじめた代物――AIを兵器化する欲求である。軍のデータを最先端のクラウド基盤システムに貯めこみ、そのような基盤システムが備えている、そのデータを分析する機械学習サービスを利用することによって、JEDIはペンタゴンがAIの野望を実現するのを助ける。

*[訳注]アルゴリズム【algorithm】(アラビアの数学者アル・フワリズミーの名に因む)⇒アラビア記数法。②問題を解決する典型的な手法・技法、コンピューターなどで、演算手続きを指示する規則、算法。(広辞苑・第6版より)


そのような野望の規模は、最近の数か月でますます明確になった。ペンタゴンは6月、合同人工知能センター(JAICJoint Artificial Intelligence Center)を設立し、17億ドルの予算をかけて、国防総省の全体で現在進行中のざっと600件のAIプロジェクトを統括することになった。また7月には、国防総省国防高等研究事業局(DARPADefense Advanced Research Projects Agency)がAI兵器の研究開発に今後5年間で最大20億ドルを投資すると発表した。


現状では、ペンタゴンのAI経費使い放題に関する報道は、おおむね自律型兵器――人間の操作員による入力なしに人間を屠殺するターミネーター流の殺人ロボットの将来見通しに注目している。これは実に驚くべき近未来シナリオであり、殺人ロボット阻止キャンペーンが目指している類いの世界的な自律型兵器禁止は断固として必須である。


しかしAIは(まだ)文字通りのターミネーターの形になっていなくとも、すでに戦争の配線替えをはじめている。映画のようとはいかなくても、AIを兵器化する不気味な方法があるのだ。極めて危険な役割を演じるのに、アルゴリズムの引き金を引くアルゴリズムは必要ない。


その役割を理解するのに、恒久戦争がもたらす格別な困難を理解すると助かる。殺害そのものは格別に困難ではない。米国は、中国、ロシア、サウジアラビア、インド、フランス、英国、日本を束にしたより潤沢な火力を保有しており、その火力を地球上どこでも展開する比類なき能力を備えている。


米国軍は殺害する方法を知っている。難しい部分は、だれを殺すか、選別することである。従来の戦争では、単に敵を殺す。だが、国境がなく、特定の戦場がなく、従来型の対戦相手がいない紛争では、誰が敵なのか?


これが恒久戦争の永続的な問題なのだ。これはまた、恒久戦争設計の鍵となる特性なのだ。敵が漠然としているので、米国の軍国主義を飯のタネにする請負業者、官僚、政治家にとって願ってもない喜ばしい事態――紛争が20年近くも続き、70か国以上に拡散する状況が可能になったのだ。海兵隊の伝説的な将軍、スメドリー・バトラーがいうように、戦争はいかがわしい商売だ*としたら、恒久戦争はこれまでで最も長いペテン騒ぎのひとつである。


しかしまた、敵が漠然としていると、ある種の課題が生じる。北ヴェトナムの場合、地図を広げて、爆撃箇所を選ぶ。ドローン攻撃に恰好な標的の候補を特定するために、世界全体の膨大な量の情報をふるいにかけるのは、まったく別物だ。敵がどこにでもいる場合、標的特定はあまりにも労働集約的な仕事になる。ここで、AI――あるいは、より正確には機械学習――が登場する。機械学習は、恒久戦争の面倒で時間ばかりかかる側面、殺す人間の選別を自動化するのに役立つ。


ペンタゴンのプロジェクト・メイヴァン[maven=玄人、熟練者]はすでにこの着想を実行に移している。メイヴァン、またの名をアルゴリズム戦闘職能横断チームは最近、Googleの関与をめぐり、従業員の反乱を巻き起こして、大見出しニュースのネタになった。メイヴァンは軍の「経路先導」AIプロジェクトである。その初期段階は、ドローン撮影映像を精査して、爆撃する価値があるかもしれない人物、車両、建物を特定するのに役立つ機械学習を用いる。


プロジェクト指揮官、ジャック・シャナハン中将は、「われわれは、フルモーション[30フレーム/秒]ヴィデオを閲覧し、一度に67891011時間、スクリーンを見つめるアナリストたちを抱えております」という。メイヴァンのソフトウェアはその仕事を自動化し、その所見を人間に引き継ぐ。今までのところ、大成功であり、ソフトウェアは中東とアフリカの6か所に達する戦闘区域で配備されている。その目標は、やがてドローンそれ自体にソフトウェアを搭載することであり、そうなればドローンがリアルタイムで標的の位置を特定できるようになる。


このテクノロジーは精度を向上させないので、民間人の犠牲者を減らさないなんてことがあるのだろうか? これは、ペンタゴンとシリコン・ヴァレイ両側のお偉方がメイヴァンのようなプロジェクトとの自分たちの関わりを守るために仕組むありふれた論法である。「アメリカのコード」創立者、ジェン・パルカ*は、それを「鋭いナイフ」vs「鈍いナイフ」と言い表しており、よく切れるナイフは軍が人命を救うのに役立つというわけである。

*フルネームは、Jennifer Pahlka=ジェニファー・パルカ。参照サイト:Codefor Ibaraki(コード・フォー・イバラキ)……いっしょに考え、みんなでつくる。コードでまちを便利にする。


しかしながら、兵器化AIの場合、問題のナイフは特に鋭いわけではない。人間による監視が、欠陥や偏見のあるアルゴリズム――黒い顔を認識できなかったり、警察力行使や刑事訴訟判決で人種偏見を増長したりするアルゴリズムに丸投げされたときに起こる事態のホラー物語には事欠いていない。わたしたちは本当に、それと同類のような、頭に爆弾を落とされる人間を決定するテクノロジーをペンタゴンに使ってもらいたいのだろうか?


だが、アルゴリズム戦争にまつわる人道論のもっと深刻な問題は、米国軍が善意の戦力であるという思い込みである。世界中の何百万もの人びとは異議を申し立てるだろう。イラクとシリアにおける米軍と同盟軍の攻撃は2017年だけでも、6,000人に達する大勢の民間人を殺した。このような数字は、あちこち少数の正直者の間違いとは、とても言えず、「巻き添え被害」に対する体系的な無関心を表している。米国政府はまさしく、付加価値の高い標的を殺すつもりで、結婚式など、民間人の集会を繰り返し爆撃してきた。


おまけに恒久戦争の時代では、民間人と戦闘員の線引きは極めてあいまいである。The InterceptWikipediaインターセプト]の報告によれば、米軍は「標的を定めた」攻撃で殺した人間はだれでも、たとえ標的でなかったとしても、「行動中に殺された敵」のラベルを貼るという。米軍とCIAが実施した、いわゆる「標識攻撃」も、戦闘員の概念を用いて同じようなトリックをもてあそんだものだ。これは、人物特定は不詳なままでも、ある種の「標識行動」の外見にもとづいて戦闘員と疑われた――つまり、特定地域にいる戦闘適齢男性というのと同じように曖昧でありうる基準で選別された個々人に対するドローン攻撃である。


言いかえれば、問題は道具の品質ではなく、それを振りかざす組織にある。そして、AIはその組織をさらに残酷にするだけだ。恒久戦争は米国にどこにでも敵を見るようにと要求する。AIは、いっそう迅速に彼ら敵を見つけると約束し――まるでAIが敵と考えられると受け取る人間のすべてが(機密指定された)機械学習モデルが敵対行動と関連づける行動パターンをさらけだしているかのようだ。これをビッグ・データによる死と呼ぼうではないか。


AIはまた、全米最大手の企業が恒久戦争を長引かせることで稼がせてもらえるので、恒久戦争をなおいっそう永続させる可能性がある。シリコン・ヴァレイは常に米国軍と密接なつながりを維持してきた。だが、アルゴリズム戦争は、軍産複合体にいっそう深くビッグ・テクノロジーを埋めこみ、ジェフ・ベゾス[アマゾンCEO]のような億万長者たちに恒久戦争が永遠に継続することを確かなものにしようとする強力な動機付けを与える。敵は見つかるだろう。金は儲かるだろう。


【クレジット】


The Guardian, “Weaponised AI is coming. Are algorithmic forever wars our future?” by Ben Tarnoff, posted on October 11, 2018 at https://www.theguardian.com/commentisfree/2018/oct/11/war-jedi-algorithmic-warfare-us-military?CMP=share_btn_tw.


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2017822日火曜日

映画『ロボコップ』2014年リメイク版に登場する殺人ロボット。公開書簡は、「自律型殺傷兵器は、武力紛争において、かつてないほど大規模で、人間に理解不能な速さの戦闘を可能にします」と指摘する。Photograph: Allstar/Studio Canal/Sportsphoto Ltd./Allstar

「開発されるなら、自律型殺傷兵器は、武力紛争において、かつてないほど大規模で、人間に理解不能な速さの戦闘を可能にします。この兵器は、テロ攻撃に用いる武器、独裁者やテロリストが無防備な人口集団に対して使用する武器、望ましくない形で振る舞うようにハッキングされる武器になる可能性があります。

「行動するための時間は限られています。一度このパンドラの箱を開けば、蓋を閉じるのは困難です」





ストレイツ・タイムズ【ロイター】東京電力、#フクシマ☢汚染水の虚偽説明を謝罪

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福島第一原発のオーナー

放射能汚染水について謝罪



大熊町にて昨年初め、福島第一原発の汚染水保管タンク。PHOTO: REUTERS


20181012


東京電力は当初、処理水の安全性を請けあっていたが

今になって安全でないと認めている


【東京発】7年以上前に地震と津波で損壊した福島第一原子力発電所のオーナー企業は長年にわたり、敷地内で処理された水は放射性物質が除去されていると言い張っていたが、今になって、放射性物質を含んでいると発表した。


東京電力が白状したことから、原子力規制当局者が安全だといい、地元の漁業者が反対している動き、汚染水を海洋に放出するチャンスが台無しになった。


東京は5年以上も前、安倍晋三首相がフクシマは「アンダー・コントロール」と宣言したことから、2020年オリンピック夏季大会の開催権を勝ち取った。


東京電力は108日、オリンピック水泳競技用プールの約500杯分にあたる、100万トン近くの損壊原発の保管水は今でも有害でありうる検出可能レベルの放射性粒子を今でも含んでいると政府の委員会に告げた。


東京電力は、汚染水の処分方法を検討している通商産業省の委員会*に謝罪した。東京電力の広報担当者が調査結果と謝罪を明言した。

*[訳注]資源エネルギー庁>電力・ガス事業部>原子力政策課>原子力発電所事故収束対応室>「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」


20113月のマグニチュード9.0地震と津波で福島第一原発の反応炉6基のうちの3基がメルトダウンして、大気中、土壌、海洋に放射能を撒き散らし、160,000人の住民に避難を余儀なくさせた。


それは25年前のチェルノブイリ以降で世界最悪の核惨事だった。


84%


フクシマで保管されている890,000トンの処理水のうち、濃度が法定許容限度より高い放射性物質を含有している汚染水の割合。

危機のなかで避難を強いられた混乱、そしてそれ以来、避難民が経験してきたトラウマのために何百人もの人びとが亡くなった。だが、政府は先月になって、フクシマの作業員1名が放射線被爆で死亡したと認定しただけである。


政府の委員会のウェブサイトに掲載されている資料によれば、フクシマで保管されている処理水890,000トンのうち、750,000トン、つまり84パーセントは法定許容限度より高い濃度の放射性物質を含有しているという。


65,000トンの処理水は、放射性物質のレベルが政府の安全基準の100倍以上である。



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処理水に含まれるアイソトープのひとつ、人間の健康に危険であるとされているストロンチウム90の場合、一部のタンクで法定限度の20,000倍、1リッターあたり600,000ベクレルの放射能測定値が検出された。


東京電力は何年にもわたり、フクシマの浄化処理装置がストロンチウムおよび他の61種の放射性核種を汚染水から除去するが、危険性が穏やかな放射性核種、トリチウムは水から分離するのが困難なので残ると断言してきた。


トリチウムは、正常に稼働している原子力発電所で定期的に希釈したうえで放出されている。


東京電力の広報担当者は、「環境放出が決定した際には、弊社は処分前にタンクの水を再浄化して、国の排水基準値未満まで放射性物質濃度を下げる方針です」と述べた。


REUTERS


【クレジット】


The Straits Times, “Fukushima plant owner sorry for radioactive water,” posted on October 12, 2018 at https://www.straitstimes.com/asia/east-asia/fukushima-plant-owner-sorry-for-radioactive-water.


【ロイター日本語版】


20181012

[東京 12日 ロイター] - 東京電力(9501.T)は、福島第1原発の事故処理作業で発生した汚染水を浄化してきたが、この汚染水の中に法令基準を超える放射性物質が含まれることが明らかになった。ロイターの取材に対し、同社が回答した。

東電はこの事実について、今月1日に経済産業省の委員会で報告し、謝罪しているが、原子力規制委が処理水の海洋放出に肯定的な意思を示しているだけに、地元の漁業関係者だけでなく、広範な関係者の反発を招く可能性がある。


【福島民友ネット】


20180929

東京電力福島第1原発の汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含む処理水の処分で、東電は28日、排水の法令基準値を上回るトリチウム以外の放射性物質を含む処理水を処分前に再浄化する方針を示した。10月1日の国の小委員会で報告する。小委員会はトリチウム以外の放射性物質の濃度が法令基準値を満たすことを前提に、処理水の処分方法を検討する。


【当ブログ記事】


20181014日日曜日

公聴会の配布資料によれば、トリチウム水タスクフォースが示した処分方法は、①深度二五〇〇メートルの地層に注入、②希釈し、海洋に放出、③蒸発処理し、高温水蒸気として大気に放出、④電気分解して、水素を大気に放出、⑤セメントなどで固形化して地下構造物に埋設であり、一押しは言うまでもなく、一番安上がりの②海洋放出処分。

[注]すべての案に、枕ことば、または原発マフィアの常套句で「安全性を確保した上で」と断り書きされているのが笑わせる


2018109日火曜日

ソウル発108日【聯合ニュース】韓国の環境保護団体は107日、日本政府に対し、福島第一原子力発電所で大量に保管されている放射能汚染水を処理したあとに放出するという最近の決定を撤回するように要求した。韓国放射線監視、韓国環境運動連合、その他の市民団体はソウル中心部の光化門広場で共同記者会見を開き、フクシマ汚染水を海洋に放出するという日本政府と東京電力株式会社の決定を「容認できない」として非難した。

福島第一原発の放射能汚染水を海洋に放出するという日本の決定に抗議して、在ソウル日本大使館の前で集会を開く韓国の環境保護活動家たち。(聯合ニュース)


アジアニュース・イタリア【海外の目】#フクシマ☢惨事にブラック・ツーリズムのブーム

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アジアニュース・イタリア英語版サイト AsiaNews.it/en

201892714.01 JAPAN


フクシマの災害ツーリズムに新たなブーム


政府は、住民に帰還を納得してもらうために被災地訪問を奨励している。ほぼ70,000人の人びとが今も仮設住宅に住んでいる。いまだに多くの住民は、帰還しても安全だと説得する当局者らに不信を抱いている。日本のダーク・ツーリズムは、別に目新しいものでもない。よく知られた観光サイト、青木ヶ原の森林は自殺願望者を惹きつけることで有名である。




東京発【アジアニュース/代理取材機関】フクシマは、覗き見趣味と記憶する義務感をないまぜに満足させるトップ人気の災害観光地になった。


何千人もの死者を出し、福島第一原子力発電所のメルトダウンを引き起こした津波の襲来地の市町村に昨年、100,000人近くの人びとが訪問した。


政府は、この地域は今では除染されていて、住民が帰還してもまったく安全であると断言している。


この地域には年間を通して旅行者が訪れ、ガイド付きツアーも用意され、地元の人たちに会ったり、原発の惨状を遊覧する船に乗りこんだりする。


当局者らはこのトレンドを後押ししており、「すべてが正常に戻った」のを見せて、避難民に帰還を納得させるのに熱心である。


20173月に安全が宣言された町、浪江のような場所の現状では、旅行客のほうが住民よりも多い。災害前に浪江をわが町といっていた21,000人の住民のうち、戻ったのは700人だけである。


地域全体で70,000人ほどが今でも仮設住宅で暮らしている。


いまだに除染の有効性に誰もが納得しているわけではない。母親たちの多くが絶え間なく恐れを抱きながら暮らしており、定期的に子どもたちを甲状腺癌の検査に連れていく。


そのような懸念すべき事態であっても、強制収容所やジェノサイド現場、あるいは自然災害現地といった悲劇的な事象が成就した場所を訪問するのを好む人達、ダーク・ツーリズム愛好家たちをひるませないようだ。


それに、日本のダーク・ツーリズムは、別に目新しいものでもない。その一例は青木ヶ原の森林であり、これは樹海としても知られている。樹海は富士山の北東に位置しており、その美しさからも、自殺願望者を惹きつけることでも有名である


この森林は世界的な惹きつけ効果を発揮して、最近のハリウッド映画2作品、『追憶の森』(2015年)と『TheForest』(2016年)の舞台に使われたほどである。[訳注:リンクは訳者による]



【クレジット】


AsiaNews.it/en, “Disaster tourism reaches new heights at Fukushima,” posted on September 27, 2018 at http://www.asianews.it/news-en/Disaster-tourism-reaches-new-heights-at-Fukushima-45053.html.






セントルイス・ポスト=ディスパッチ【写真集】乳歯調査が大気圏内 #核実験 禁止条約の締結の一助に

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【写真集】乳歯調査が大気圏内核実験終結の一助に

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·          20181015


研究の結果、冷戦さなかの1963年にセントルイスで生まれた子どもたちは、1950年――大半の核実験の実施日以前――に生まれた子どもたちに比べて、核爆発の放射性廃棄物や核反応炉のなかに見つかる放射性アイソトープ、ストロンチウムの体内蓄積レベルが50倍も高かったことが判明した。この結果は最終的に、大気圏内核兵器実験を禁止する国際条約の締結の一助になった。


Virginia Griesediec


ヴァージニア・グリースディックは歯が抜けた箇所を見せており、乳歯の何本かを科学に捧げたことを証ししている。当時9歳のヴァージニアはユニバーシティ・シティのロバート・A・グリースディック夫妻の娘。写真は19599月撮影。Post-Dispatch archive photo


Denise Ellen Taylor


当時5歳、アラスカ州フェアーバンクスのデニス・エレン・テイラーは満面に笑みを浮かべ、セントルイス核情報委員会が後援したアラスカ乳歯調査に最初の歯を捧げたことを証ししている。乳歯は、核実験の放射性降下物に由来するストロンチウム90の含有量を決定するためにワシントン大学歯学部で分析される。写真は1965年撮影。UPI TELEPHOTO


Gege Nick


ゲージ・ニックはこの頃、発音にちょっとした問題があるかも知れないが、襟元のバッジが彼女の抜けた歯を197010月、科学に捧げたことを証している。Post-Dispatch archive photo



1967 年:乳歯調査


BBCカメラマン、カール・クメルズが乳歯検査オフィスにて19671月、郵送作業を撮影するさい、動画に登場するソフィア・グッドマンに歩いてほしい場所を示している。グッドマンは調査の事務局長である。左の録音機イヤフォンをつけた人物は、BBCサイエンス番組のプロデューサー、ロイ・バタースビー。背後の棚に、さまざまな州や都市から送られてきた乳歯の箱が並んでいる。POST-DISPATCH ARCHIVE PHOTO


1967 年:乳歯調査


BBC1967年、セントルイスで乳歯調査の物語を撮影していた。カメラマンのクメルズが、調査の類別ごとに乳歯を分類している退職歯科医師、J・フィンドレー・スマートに焦点を合わせている。スマートは1958年以来、調査のために約15,000本の歯を分類した。

POST-DISPATCH ARCHIVE PHOTO


1968年:乳歯調査


焼け落ちた乳歯調査資料庫からの文献や記録文書を回収する(左から)委員会の科学主任、ミルトン・レイテンバーグ、秘書のトニア・フェリックス、ボランティア作業員のエドガー・シュミット。デルマー5144番地のビルは196816日、火災で焼け落ちたので、職員らは必死になってできるだけ多くの歯を回収した。この部屋の作業は、委員会の月刊出版物バックナンバー、調査資料類の回収に向けられていた。POST-DISPATCH ARCHIVE PHOTO


Betty Keener


1967年当時、セントルイスのスティックス小学校の1年生だったベティ・キーナーは、乳歯2本の抜け跡を見せている。ベティは抜け落ちた2本の門歯を教室に持ってきて、乳歯調査オフィスに郵送した。その歯はやがて他の歯と混ぜ合わされて、平均放射能計測値の測定に役立てられる。POST-DISPATCH ARCHIVE PHOTO


乳歯研究に新しい命


セントルイス郡南西部のワシントン大学タイソン研究所で長年にわたって保管されていた乳歯含有ストロンチウム研究資料の一部、歯、データカード、オリジナルの封筒。


乳歯


入試調査の幼い試料提供者、キム・ガーバーとラッセル・シュリアーが、この1960525日撮影の資料写真でニッコリ笑って、ふたりの貢献の大きさを見せている。ふたりはユニバーシティ・シティのグリーンズフェルダー・パーク小学校の1年生だった。ラッセルは、調査の紋章の周りに「わたしはわたしの歯を科学に提供した」と記されたバッジを付けている。


【クレジット】








#英紙ガーディアン【#フクシマ☢惨事】「ここには希望があります」――ツーリズムに向かうフクシマ

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「ここには希望があります」――核メルトダウンのあと、ツーリズムに向かうフクシマ


この地域には永久に破局的事態がつきまとうかも知れないが、一部の住民は、暮らしがつづくことを世界に知ってほしいと願う


ジャスティン・マッカリー【福島発】

Justin McCurry in Fukushima

201810 17


常民の暮らしの装いが地域の一部に戻りつつある。Photograph: Justin McCurry for the Guardian


凄まじい地震と津波が福島第一原子力発電所のメルトダウンを引き起こしてからほとんど8年たった今でさえ、惨事の物理的遺産を避けることは不可能である。


2011311日の午後、フクシマ1,600人を含めて――日本の北東部3県一帯で18,000人を殺した津波の侵入域に横たわる不毛の水田の合間に、内部を破壊された家屋の外殻が建っている。


福島ブランドには、いつまでも核の破局的事態がつきまとうかも知れないが、一部の住民たちは、この地域を短期訪問するだけでも危険だという根強い風評に怒り、一部の人間にとって、フクシマの暮らしはつづくことを世界に発信するために、ツーリズムに向かっている。


県の職員で、少人数の訪問客にツアーを提供している団体のひとつ、Real Fukushimaのガイドとしても働くShuzo Sasaki*は、「この辺の人間は、あの人たちは『ダーク』な場所で暮らしているという考えに、いい気がしません」という。

*[訳注]ご本人のものと思われるFBアカウントの表記に従う。


ジョージア工科大学の学生グループのガイドを務め、来年はデンマークの高校生グループを引率することになるSasakiは、「これは福島なのだから、危険に違いないという考えは、完全に間違っています」と付け加える。


フクシマの風評を変えたくてたまらない住民が直面する課題が今年の夏、ニュージーランドのジャーナリスト、デイヴィッド・ファリアが主催するネットフリックス*動画シリーズ『ダーク・ツーリスト』が公開されるに及んで浮き彫りになった。

* Netflixは、アメリカ発祥の映画、ドラマなどのオンデマンド動画配信サイト。


そのエピソードの1本で、ファリアをはじめ、数人の外国人ツーリストがミニバスで地域を周回し、目がガイガーカウンターに釘付けになっていると、放射線計測値が跳ね上がり、何人かは目に見えて苦悶の表情を浮かべた。


ツーリストらが嫌々ながらレストランで昼食を食べていると、福島産食品に含まれる放射性物質の公式限度値*EUと米国のそれより大幅に低いにもかかわらず、ファリアは自分が食べているものは汚染されているかもしれないと思った。

*ふくしま復興ステーション“Japanesestandards on radioactive substances in food and overseas indexes”(食品含有放射性物質の日本の基準および海外の指標)。日本語版サイトには同内容のページは見当たらない。


フクシマの除染済み地域の一部では、政府目標の1時間あたり0.23マイクロシーベルトまで放射線値が下がり、個人が1日のうち、屋外で8時間、屋内で16時間を過ごすと仮定すると、年間1ミリシーベルトになる。ちなみに比較すれば、人間の電離放射線被曝レベルの世界平均値は年間2.4ないし3ミリシーベルトである。


南相馬市小高区の民宿「ランタンハ」を経営するリアルフクシマのガイド、Karin*は、ネットフリックス実録動画は放射線リスクを誇張し、地域の否定的な光景に固執して描いていると断言する。彼女は、「この場所は絶望的だという印象を与えます。でも、ここには希望があります」という。

*宿泊所紹介サイトAirbnb(エアビーアンドビー)の表記に従う。


しかし、津波と核メルトダウンがもたらした荒廃を思い起こさせるものもある。


フクシマの放置された住宅。Photograph: Justin McCurry for the Guardian


太平洋を眺望する丘の上で、慰霊碑が浪江町で津波に流されて死亡した182名の名前を連ねて刻印している。津波の壊滅的な到達範囲のすぐ外側、内陸部には別種の悲劇の形跡が見受けられる。損壊した原発からほんの2キロ、熊町小学校では、教室に避難命令が発令された時に放棄された本、カバン、その他の私有物が残され、時の流れのなかで凍りついている。外では、イノシシ、タヌキが人間に邪魔されずにうろついている街路に野草や雑草が伸び放題にはびこっている。


三重メルトダウンの避難者150,000人のうち、少人数の人たちだけが、政府が安全と考えた地域に帰還した。一部の地域では、放射線レベルが政府断言する数値より高いことを示す証拠に鑑みて、一部の親たちは子どもの長期放射線被曝を心配している。他にも、他の土地で新たな生活を築いて、災害で暮らし向きが台無しになった地域に帰還する是非ともない理由が見当たらない人たちがいる。


だが、津波の前に農産物や魚介類で知られた町や村の一部に、常民の暮らしの装いが戻りつつある。今年の夏、福島第一原発の40キロ北に位置する海水浴場が7年ぶりに再開された。農民は米や他の作物を作付けし、漁民は海に戻った。巨大な除染事業の期間中に地域から除去された放射性表層土を詰めた推定1600万袋が置かれているために規模縮小を余儀なくされてはいるが、放棄された農地にソーラー発電所が築かれた。


福島市は2020東京オリンピックの野球・ソフトボール競技開催地になり、Jヴィレッジは、メルトダウンの余波で何千人もの作業員やその装備品のために徴用されていたが、サッカーのトレーニング・センターとしての元の役割を回復した。


「わたしたちはツーリストに来てもらって、自分の目で見てほしい」


大熊町で役場職員の志賀秀陽は同僚らとともに、来年4月に予定されている町の新庁舎のオープン、避難命令解除後のアパートや店舗の開設に向けて準備をしている。また、伝統的な和風家屋を改装し、Airbnbを利用して宣伝するおおまかな計画もある。


福島県当局の数値によれば、県内に2016年、52,764人の観光客が訪れ、これは災害前年値の92%を超えている


志賀は、「初めてここに来る人たちは、実際に人が住んでいるのでビックリします」という。


菅野貴祐は、南相馬市の沿岸部に立地する自分のホテルが、原発や除染事業の作業員宿舎からツーリストや学童グループがめざす宿に様変わりするのを見た。彼は、こういう――


「来る気になっていただくのは、まだ難しいですが、あえて来る人は、原子力発電所にこれほど近い場所に住んでいる人が再び当たり前の暮らしをしているのを見て、ビックリします」


夫のビリー、娘のシアラと一緒にこの地を旅しているオーストラリア人、ノラ・レドモンドは、放射線がもたらすリスクに関する「自分たちの宿題をすませた」のであり、福島第一原発に近接した土地で過ごした数時間、自分たちの健康に不安がないといった。


地元ツアーガイド、Shuzo Sasakiと来訪客、ビリー、シアラ・レドモンド。Photograph: Justin McCurry for the Guardian


レドモンドはいう――


「わたしたちはこの土地が人口減少で苦しんでいると聞きましたので、ここで幾ばくかの時間とお金を使うのは、いい考えだと思いました。


「人びとの歴史がそっくりなくなるなんて、わたしは荒廃の規模を理解していませんでした。わたしたちはあちこち車で回って、20軒の家が倒壊しているのを見たはずです。美しい木製のインテリアを見ることができました…それがガラクタに変わり果てようとしていたのです。それがわたしにとって最も胸打つことでした」


フクシマの住民は、彼らは被災者だという言われかた――放射線レベルが政府設定目標値まで引き下げられた地域社会で芽生える経済活動の余地を無視したレッテル貼りにがっかりする。原子力推進ロビー団体、世界原子力協会によれば、ヨーロッパの平均バックグラウンド放射線被曝値は、英国の1年あたり2ミリシーベルト以下からフィンランドの7ミリシーベルト以上までばらつきがある。


菅野は、次のように認める――


「この地区や他の地区が災害前の姿を取り戻すまで、何年もかかるでしょう。わたしたちはその間、旅行客がやってきて、自分の目で見て、この地の実情を学んでほしいのです。でも、これが出発点にすぎません」


Topics


【クレジット】


The Guardian, “'There is hope here': Fukushima turns to tourism after nuclear meltdown,” by Justin McCurry, posted on October 17, 2018 at https://www.theguardian.com/world/2018/oct/17/there-is-hope-here-fukushima-turns-to-tourism-after-nuclear-meltdown?CMP=share_btn_tw.


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20181017日水曜日

政府は、住民に帰還を納得してもらうために被災地訪問を奨励している。ほぼ70,000人の人びとが今も仮設住宅に住んでいる。いまだに多くの住民は、帰還しても安全だと説得する当局者らに不信を抱いている。日本のダーク・ツーリズムは、別に目新しいものでもない。よく知られた観光サイト、青木ヶ原の森林は自殺願望者を惹きつけることで有名である。







英紙テレグラフ【#フクシマ☢惨事】日本政府が「法定基準値を超えた」汚染水の海洋放出を目論む

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日本は「許容レベルを超える放射性物質を含む」フクシマ汚染水の海洋放出を目論む


津波で損壊した福島第一原発の構内に並ぶ汚染水保管タンクのそばを行く職員。CREDIT: TOMOHIRO OHSUMI/ BLOOMBERG


【東京発】ジュリアン・リオール Julian Ryall

20181016


原発を運営する東京電力の説明とテレグラフが閲覧した文書によって、損壊した福島第一原子力発電所から太平洋に放出することを日本政府が目論んでいる水には、法定許容レベルを遥かに超える放射性物質で汚染されていることが判明した。


政府にとって、日本の北東部を襲った地震と津波で施設が破壊されたあと、3基の核反応炉から溶け落ちた核燃料に接触した汚染水を保管する余地がなくなろうとしている。


目下、900基のタンクに保管されている、およそ109万トンの汚染水を太平洋に放流しようとする日本政府の目論みは、地元住民や環境保護団体だけでなく、歴史上二番目に過酷な核惨事に由来する放射能が自国の沿岸に打ち寄せると恐れる韓国や台湾の団体の凄まじい反発に火をつけた。


原発を運営する東京電力ホールディングスは、処理水に含まれている統計上有意な唯一の汚染物質は安全レベルのトリチウムだけであると、つい最近まで断言してきたが、これは飲料水にも少量ながら検出されることがあるものの、大量となれば、危険である。


日本政府は、日立製作所の原子力部門が動かしている高性能の多核種除去設備(ALPS*によって、他の放射性核種のすべてを「検出不能」レベルまで減らすことができると保証してきた。

* Advanced Liquid Processing System=直訳すれば、高度液体処理設備。


しかしながら、テレグラフが日本政府の部内情報源によって提供された文書によれば、ALPSが常日頃から、ヨウ素、ルテニウム、ロジウム、アンチモン、テルル、コバルト、ストロンチウムなど、他の放射性元素のカクテルを取り除き損なってきたことがうかがわれる。


日立は、同社の装置の運用実績報告に関する見解表明を拒否した。日本政府は、度重なる見解表明の要請に応じなかった。


日本政府は、高性能の多核種除去設備(ALPS)によって、トリチウム以外の放射性核種をすべて「検出不能」レベルまで減らすことができると請けあってきた。CREDIT:  SHIZUO KAMBAYASHI/AP POOL

やはりフクシマ事態事態対策の責任を担う日本政府の当事者からテレグラフに伝えられた1点の内部機密文書は、ALPSが放射性核種を「検出不能」レベルまで減らしていないことに当局者らは気づいていたことを示している。


これは、地方紙の河北新報が、2017年の試料84点のうち、45点でヨウ素129とルテニウム106の含有レベルが許容レベルを超えていたことを確定した研究を伝えた記事を補完するものだった。


ヨウ素106は半減期が157万年であり、甲状腺の癌の病原になりうる。ルテニウム106は核分裂で生成され、高用量で摂取されると有毒で発癌性がある。


東京電力は9月末になって、経済産業省が東京都と福島県で公聴会を開催し、地元の住民たちと漁業者らが政府の計画に抗議したあと、フクシマ現場で保管されている水の80パーセントほどが法定許容レベルを超える放射性物質を今でも含有していると認めることを余儀なくされた。


東京電力は今ごろになって、例えば、ストロンチウム90の濃度レベルが、ALPS浄化装置を通した65,000トンの処理水で法定許容レベルの100倍を超えており、構内の保管タンクの数基で政府設定レベルの20,000倍に達していたと認めた。


東京電力は、フクシマ現場で保管されている水の80パーセントほどが法定許容レベルを超える放射性物質を含有していると認めることを余儀なくされた。CREDIT:  REUTERS


米国ウッズホール海洋学研究所の海洋化学者、ケン・ビューセラー博士は、個々のタンクに存在する放射性核種の種類とその量を正確に確定することが肝要であると述べた。


ビューセラーは、「個々のタンクごとに存在する放射性核種の違いがわかるまで、汚染水を放出する計画と海洋にもたらすと予想される影響を評価するのは難しいです」とテレグラフに語った。


有識者らは、汚染物質の放出がもたらす危険は放射性核種と放出後の魚介類の汚染によって決まることで見解が一致している。


人間が摂食する可能性のある小魚の骨に存在するストロンチウムは重大な懸念の対象になるかも知れない。人間がストロンチウム90を摂取すると、骨に蓄積し、骨癌や白血病の病原になりうる。


グリーンピースの核専門家、ショーン・バーニーもまた、東京電力のトリチウムは実質的に無害であるという主張に反論する。


彼は、「人の体内にあるトリチウムのベータ粒子は、大概のX線やガンマ線よりも有害です」といい、次のように付言した――


「海洋生物に摂取され、さらに食物連鎖を通して人間に摂取される放射性トリチウムがもたらす長期的影響については大いに不確実性があります。


「東京電力が計画している数十億ベクレル規模の放出は、海洋環境と人間の健康にリスクをおよぼさない行為だとはとても考えられません」


日本の当局者らは、汚染水を海洋に放出する目論みに対する地域住民の反対の強烈さに不意を突かれた形だが、今のところ、彼らの計画を諦めていない。


Related Topics

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【クレジット】


The Telegraph, “Japan plans to flush Fukushima water 'containing radioactive material above permitted levels' into the ocean,” by Julian Ryall, posted on October 16, 2018 at https://www.telegraph.co.uk/news/2018/10/16/japan-plans-flush-fukushima-water-containing-radioactive-material/?WT.mc_id=tmg_share_tw?icid=registration_eng_nba158433_personalised.


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20181016日火曜日



20181014日日曜日

[注]すべての案に、枕ことば、または原発マフィアの常套句で「安全性を確保した上で」と断り書きされているのが笑わせる

2018109日火曜日



2017824日木曜日



2017715日土曜日


2016417

AP通信【外信スクープ】日本、#フクシマトリチウムの海洋放出を準備


2016416




コモン・ドリームス【#フクシマ☢惨事】汚染水の海洋放出

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20181018日 Common Dreams

100万トンのフクシマ汚染水を太平洋に放出する政府の計画に住民の怒りと健康懸念


核問題専門家は、報道されている日本政府の計画は、「海洋環境と人間の健康にリスクをおよぼさない行為だとはとても考えられない」と論じた


ジェイク・ジョンソン Jake Johnson, staff writer


テレグラフは、「政府にとって、日本の北東部を襲った地震と津波で施設が破壊されたあと、3基の核反応炉から溶け落ちた核燃料に接触した汚染水を保管する余地がなくなろうとしている」と伝えた。 (Photo: AP)


日本政府は、「法定許容レベルを大幅に上回る放射性物質」を含んでいることを示す証拠を無視して、フクシマ第一原子力発電所の109万トンの水を太平洋に放出しようと目論んでおり、この動きが地域住民の怒りに火をつけ、環境問題専門家らが健康被害に対する警鐘を鳴らしていると報道されている。


日本政府と福島第一原子力発電所を運営する東京電力ホールディングスは両者とも、水に含まれる放射性物質は検出不能な量まで削減されており、「安全なレベルのトリチウム」が残っているだけだと断言してきたが、ロンドンに本社を置くテレグラフが入手した文書によれば、水を除染するために使われる浄化設備は「絶えず、ヨウ素、ルテニウム、ロジウム、アンチモン、テルル、コバルト、ストロンチウムなど、他の放射性元素のカクテルを取り除き損なってきた」ことがうかがえる。


テレグラフは、次のように報道した――


「政府にとって、日本の北東部を襲った地震と津波で施設が破壊されたあと、3基の核反応炉から溶け落ちた核燃料に接触した汚染水を保管する余地がなくなろうとしている。目下、900基のタンクに保管されている、およそ109万トンの汚染水を太平洋に放流しようとする日本政府の目論みは、地元住民や環境保護団体だけでなく、歴史上二番目に過酷な核惨事に由来する放射能が自国の沿岸に打ち寄せると恐れる韓国や台湾の団体の凄まじい反発に火をつけた」


テレグラフがフクシマ核惨事対策の責任を担う政府機関から入手した1点の文書は、日本政府はその主張と相反して、高度液体処理設備(ALPS)が放射性核種を「検出不能」レベルまで減らしていないことに完全に気づいていたことをうかがわせている。


テレグラフは、次のように記す――


「東京電力は9月末になって、経済産業省が東京都と福島県で公聴会を開催し、地元の住民たちと漁業者らが政府の計画に抗議したあと、フクシマ現場で保管されている水の80パーセントほどが法定許容レベルを超える放射性物質を今でも含有していると認めることを余儀なくされた」


グリーンピースの核専門家、ショーン・バーニーは、いわゆる「安全」レベルのトリチウムであっても人間や海洋生物に有害であると論じて、次のようにテレグラフに語った――


「人の体内にあるトリチウムのベータ粒子は、大概のX線やガンマ線よりも有害です。海洋生物に摂取され、さらに食物連鎖を通して人間に摂取される放射性トリチウムがもたらす長期的影響については大いに不確実性があります」


バーニーは、このような警告に反して、汚染水を太平洋に放出すると伝えられる日本政府の計画は、「海洋環境と人間の健康にリスクをおよぼさない行為だとはとても考えられません」と結論づけた。


本稿は、クリエイティブ・コモンズ表示・継承3.0非移植の条件でライセンスされています。


【クレジット】


Common Dreams, “Local Fury and Health Concerns as Japan Plans to Dump a Million Tons of Radioactive Fukushima Water Into Ocean,” by Jake Johnson, posted on October 18, 2018 at https://www.commondreams.org/news/2018/10/18/local-fury-and-health-concerns-japan-plans-dump-million-tons-radioactive-fukushima.


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ニューヨーク・タイムズ【#フクシマ☢惨事】国連専門家がこどもの帰還をやめるように要請

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国連専門家、フクシマ近隣へのこどもの帰還をやめるように日本政府に要請


AP通信 The Associated Press

20181025


【国連発】国連の人権専門家は、放射線レベルが2011年の核惨事が勃発するまで安全だとされていたレベルより高い、損壊した福島第一原子力発電所の近隣地域に、子どもたちと妊娠年齢の女性を戻すのをやめるように日本政府に要請している。


危険物質・廃棄物に関する独立調査者、バスケッツ・トゥンジャクは1023日の記者会見で、日本政府が放射線被曝の許容レベルと自ら定めていた基準20倍に引き上げた決定は、痛恨すべき措置であり、子どもたちの健康に重大な影響を与える可能性があると述べた。


20113月の巨大地震と津波は、福島第一原発の反応炉3基を破壊した。


トゥンジャクは、日本政府はその措置が子どもたちの最善を図ったことになる理由を説明すべきであり、自分を同国に招くべきだと語った。


【クレジット】


The New York Times, “UN Expert Urges Japan to Stop Returning Kids Near Fukushima,” by the Associated Press, posted on October 25, 2018 at







トリシティ・ヘラルド【#ハンフォード】作業員ら500名に屋内退避命令

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トリシティ・ヘラルド紙


[訳注]トリシティズTri-Cities)とは、米国ワシントン州ハンフォード核保留区の後背地に位置する3自治体、ケニウィック、パスコ、リッチランドを中心とする広域都市圏。人口は2010年国勢調査で253,540人。


プルトニウム・ウラニウム分離処理施設の2号トンネル安定化作業が始まる

ワシントン州ハンフォード、プルトニウム・ウラニウム抽出(PUREX)施設の2号トンネルの内部を固定化する作業工程は、ほぼ14パーセント完了している。作業班は2018101日時点で、長さ508メートルのトンネルに詰め込む充填剤4100立方メートルを注入し終えた。By Hanford Site


ハンフォード作業員500名余りが1026日、退避を余儀なくされたわけ


アネッテ・キャリー ANNETTE CARY acary@tricityherald.com

20181026


【ワシントン州リッチランド発】ハンフォード核保留区の放射性廃棄物保管トンネルで1026日金曜日の朝、蒸気が噴き出しているのが目撃され、保留区中心部にいた500名を超える作業員が屋内退避を命じられた。


屋内退避は午前63分に発令され、その後4時間以上たって、ハンフォード職員らが放射性物質の空中放出がなかったことを確認したあと、解除された。


通常の作業日の場合、200東部区域に約3,300人の作業員がいる。だが、1026日は、22日から26日まで通して就労した多くの従業員らの休日に当たっていた。


1026日に出勤する予定だった作業員の一部は、避難の発令時、現場に到着していなかった。

フォームの始まり

午前6時の少し前、作業員がPUREX処理施設の第2保管トンネルから蒸気が出ているのを見た。


長さ508メートルのトンネルが崩壊のリスクを宣告されたあと、トンネルはコンクリートに似た充填剤の薄い層で覆われている


そのトンネルは、劣化したり故障したりし、しかも放射性廃棄物でひどく汚染された装置類を積載した鉄道貨車28両を格納している。


蒸気が目撃された1026日の早朝、最後に追加されたコンクリート層が養生中であり、次の層の充填剤をポンプでトンネルの内部に注入することになっていた。


特殊な呼吸器を装備したハンフォード作業員らが1026日、廃棄物保管トンネルに接続する小さな建屋から蒸気が立ち上っているのを目撃されたあと、トンネル沿いの放射線を検査している。背景に元PUREX施設が見える。Courtesy Department of Energy


エネルギー省広報官、マーク・ヒーターによれば、退避は敷地中心部の200東部区域にいた作業員らのための予防措置として発令されたという。


非常事態が宣言されることなく、リッチランド連邦ビルの応急対策センターは動かなかった。


当日朝の後ほど、防護服を着用し、外気濾過呼吸器を装備した作業班がトンネル周辺の作業区域に送り込まれ、放射能汚染の調査と検査を実施した。


職員らによれば、放射能漏れの兆候は見つからなかったという。


作業員らはまた、トンネル内の照明器具やカメラ、空気試料採取装置に電力を供給する発電機を起動した。


カメラは、トンネル内の充填剤養生に伴う蒸気を見せた。養生期間には熱と湿気が発生するので、トンネル内の水蒸気は予想されたことだった。


だが、トンネルの一端に接続した建屋の見逃されている穴から水蒸気が大気中に漏れ出すのは予想外のことだった。トンネルから漏れた暖気が朝の冷気に触れて、水蒸気が目に見えた。

その建屋は密封されていて、トンネルのPUREX処理施設に最も近い末端の鋼鉄製ドアを動かす装置を格納しており、廃棄物を積載した鉄道貨車はそのドアからトンネル内に押し入れられた。ドアの諸元は、厚さ2.1 m、高さ7.3 m、幅6.7 mである。


貨車が押し入れられて、保管されることになったのは、おおむね1964年から96年にかけてのことである。


退避警報の発令中、作業員らは屋内に留まっており、窓やドアは閉じられ、換気装置も止められていた。4時間の大半、飲食も禁じられていた。


金曜日の異常事態で退避を余儀なくされた作業員の数は、530名ないし580名だったと推測されている。


上空から見たPUREX処理施設の景観のうち、黄色の円で囲った建屋で金曜日の朝、水蒸気が目撃された。その建屋が、長さ518メートルのトンネルの入口になっている。その横の短い方のトンネルは20175月に部分的な崩落事故を起こした。Courtesy Department of Energy


200東部区域における170億ドル[約2兆円]をかけたガラス化施設の建設現場に350名ないし400名ほどの作業員がいた。


さらにまた除染請負業者――ワシントン川保護ソリューションズ、CH2Mヒル高原修復社、ミッション・サポート・アライアンス――作業員180名が200東部区域にいた。


PUREX処理施設に2本ある廃棄物保管トンネルのうち、最初に建造された短いほうが20175月、部分的な崩落にみまわれた。そのトンネルは、廃棄物を積載した鉄道貨車を格納していた。


非常事態が宣言され、数千名の作業員が数時間にわたる屋内退避を命じられた。トンネルから放射性粒子が漏出していないことをハンフォード職員らが確認するまでの数時間、近隣自治体の住民らは不安のうちに過ごした。


1964年、ハンフォード中心部のPUREX処理施設で建造中の第2放射性廃棄物保管トンネル。Courtesy Department of Ecology.


構造分析が実施された20176月末、第2トンネルが現行の構造基準に適合していないと結論づけされた。


2018年の春、トンネルの内部に吊り下げられたヴィデオカメラによって、トンネルのコンクリート製アーチに鋼鉄製梁材を固定するボルトに腐食が見つかり、トンネルの一端の梁材に腐食が見つかるにおよんで、懸念が膨れあがった。


腐食はトンネルが崩落するリスクを高める。


事業の規制にあたるワシントン州政府エコロジー省がパブリック・コメント期間を終了し、事業を認可するや否や、トンネルの充填作業が開始された。

充填作業が始まった月の初め以来、作業員らはトンネルの内部に約6,900立方メートルの充填材を注入し、薄い層にして重ねた。この量は、崩落の可能性を潰すために必要になる充填材の量のほぼ25パーセントにあたると見積もられている。


充填作業は、作業員らが建屋の蒸気が漏れた箇所の評価に当たる2日間にわたって停止すると予想されている。この建屋はトンネル独自の付属施設であり、トンネルの建設は1964年に完工した。


1トンネルは非常事態のもとに充填材満たされており、パブリック・コメントで遅らせる余裕がなかった。


このトンネルは1956年に木材を使って建造され、屋根が平らであり、厚さ約2.4メートルの土砂で覆われている。


ハンフォードPUREX処理施設近くの第1トンネルにおける2017年の崩落は当初、放射性汚染物質が空中に漏れ出すのを防ぐために砂と土壌の混合物で埋められた。その後、穴をさらに安定化するためにセメント様の充填材が注入された。Department of Energy


2017年の春に先立つ、湿度が異常に高く、雪の多い冬のせいで、トンネルの上の土砂が重くなり、そのことが屋根に6メートルx6メートルの広さの陥没が起こったことにつながったのかも知れない。


トンネルの上を覆う土砂が内部の廃棄物の上に落ち込んだので、それが空中浮遊汚染物質の漏出防止に役立った。


ハンフォード職員らは、第2トンネルの鋼鉄製梁材のひとつが崩落すれば、隣の梁材に無理な圧力がかかり、ドミノ倒し作用を起こすのではないかと懸念している。


2トンネルも、やはり厚さ2.4メートルの土砂で覆われている。


充填工事は、トンネルを安定化し、内部の廃棄物を封じ込めるための一時的な措置と考えられており、トンネルの最終除染決定案はまだ策定されていない。


2本のトンネルで保管されている廃棄物の出処は、PUREX処理施設である。


PUREX処理施設は、ハンフォードの核反応炉で放射線照射されたウラニウム燃料からプルトニウムを化学的に分離するために、1956年から1972年まで、そして再び1983年から1988年まで使われた。


この施設は、国家の核兵器計画のためにハンフォードで生産されたプルトニウムの約75パーセントを処理した。


Annette Cary; 509-582-1533; @HanfordNews


【クレジット】


The Tri-City Herald, “Here’s why over 500 Hanford workers had to take cover Friday,” by Annette Cary, posted on October 26, 2018 at https://www.tri-cityherald.com/news/local/hanford/article220696030.html.


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2018817日金曜日



2018816日木曜日



201882日木曜日










救援連絡センター【#郡山通信】#フクシマ☢惨事のフェイク VS ファクト

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国家権力による弾圧に対しては、 犠牲者の思想的信条、 政治的見解の如何を問わず、 これを救援する。




郡山通信

フクシマ惨事

フェイクvsファクト


「フェイク・ニュース」といえば、トランプの常套句だが、わたしたち、とりわけ福島県民は二〇一一年三月のフクシマ核惨事からこのかた、フェイクに満ちた社会に生きることを強いられているといっても過言ではないだろう。


国連の場でフェイク対決


国連で十月二三日、人権理事会の危険物質・廃棄物に関する独立調査担当者、バスケッツ・トゥンジャク氏が記者会見に望み、「日本政府が放射線被曝の許容レベルと自ら定めていた基準を二〇倍に引き上げた決定は、痛恨すべき措置であり、子どもたちの健康に重大な影響を与える可能性がある」と述べ、福島第一原発の近隣地域に、子どもたちと妊娠年齢の女性を戻すのを中止するように日本政府に要請した。



この発言が国際的に通用するファクトであり、米国最大の通信社、AP通信がこのニュースを配信し、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズなど、全米各地と世界のメディアがオンライン版に掲載した。


翻って「肝心のわが国のメディアは?」といえば、筆者がウェブ検索でヒットしたのは、日本経済新聞の記事とテレビ朝日の動画の二点のみ。


いずれも和の国メディアお好みの両論併記で、日本政府代表が「不正確な情報に基づいた声明が発表されることで、被災地の風評被害が助長されかねない」と反論したと伝えている。つまり、日本は国連機関専門家の発言をフェイクだと決めつけたのだ。一方のAP通信は、日本政府代表の反論をニュース価値のない強弁と見たのか、まったく触れていない。


処理水≠汚染水?


福島県富岡町で八月三〇日、郡山市と東京で三一日に開催された通商産業省「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」説明・公聴会で配布された資料では、「現在、タンクに貯蔵されているALPS処理水(≠汚染水)は、トリチウムを除く放射性物質の大部分を取り除いた状態」と説明され、処理水が汚染水では断じてないとほのめかされている。



二〇一一年のフクシマ核惨事勃発の直後、フランスのアレヴァ社に大金を払って導入した放射能汚染水処理装置がまったく使い物にならず、代替機として導入した日立製の高度液体処理設備(ALPS)はこれまで、水と同じトリチウム水を除く全核種を検出限界以下まで除去できると喧伝されてきた。


このトリチウム汚染水を海洋に放出処分する問題が、AP通信二〇一六年四月付けスクープ記事で明るみに出て、英紙ガーディアンなどが報道した。フォーブス誌は「トリチウム問題を解決するには?飲んで見せることだ」とからかい半分のタイトルを付した投稿記事を掲載した。例によって、日本メディアの報道は見当たらなかった。


AP通信記事によれば、当時の原子力規制委員会の田中俊一委員長は、原発構内に立ち並ぶタンクのトリチウム水をすべて集めると、五七ミリリットルにしかならないといって、青い水の入った小瓶を振って見せた。


経産省小委員会の初会合が二〇一六年十一月に開かれており、AP通信のスクープが先触れだったことがわかる。先般の公聴会で、汚染水の海洋放出に反対する声が沸騰し、委員たちのなかに初めて仕事しはじめた先生方がいるのだろうか。東京電力は追い詰められたのか、「処理水八九万トンのうち、八四%は法定許容限度より高い濃度の放射性物質を含有」などと白状した。


更田豊志・原子力規制委員長は、状況不利と見たのか、沈黙。ところが、東電旧経営陣の刑事裁判を意識したのか、新たに「原発事故のさい、高齢の入院患者を移動させるリスクなどを考慮して、一週間で一〇〇ミリシーベルトの被曝を避難の目安に」などと発言する始末。この目安と一般人の「年間」被曝限度一ミリシーベルト、どちらがフェイクなのだろう?


原発マフィア天領の知事選挙


十月二八日は福島県知事の投開票日。自公に加え、立憲・社民など、共産党を除く全政党県本部が長野県生まれで旧自治省出身の現職、内堀雅雄候補に支持を表明し、選挙戦はまったく盛り上がらない無風状態だった。結果は、内堀候補が有効投票数の九一%にあたる六五万票を獲得して圧勝。ところが、投票率は四五%に過ぎず、シラケきった県内政治状況を浮き彫りにしている。ともあれ、もっぱら「風評払拭!」「福島復興!」スローガンを唱えるのみで、県民の被曝状況を顧みない大政翼賛的な県政がこれから四年間も継続することになる。



(井上利男。原発いらない金曜日!郡山駅前フリートーク集会・世話人。ブログ「#原子力発電_原爆の子」、ツイッター:FukushimaWatch @yuima21c









#フクシマ☢汚染【論文】二本松市における食品セシウム検査に対する知識と意識

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Open Access


環境研究・公衆衛生国際ジャーナル

2018年、第1510

Int. J. Environ. Res. Public Health 201815(10), 2289;




Article


福島県二本松市における福島第一原発事故後の食品セシウム検査に対する知識と意識



1

國井伸明、小正裕佳子、木村真三*

321-029栃木県、獨協医科大学国際協力支援センター国際疫学研究室福島分室


2

藤村真耶、北村尭子、神馬征峰

113-0033東京都、東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室


3

佐藤斉

300-0394茨城県、茨城県立医療大学保健医療学部放射線技術科学科


4

高辻俊宏

852-8521長崎県、長崎大学大学院水産・環境科学綜合研究科


*

連絡先著者


受付:2018831日 受理:20181012日 公開:20181018


概要:日本は2011311日、巨大地震と津波に襲われ、福島第一原子力発電所(以下、福島第一原発と表記)の事故が引き起こされて、その結果、大量のセシウム134およびセシウム137が大気中に放出された。全国の市場における食品の放射能管理に加えて、福島県二本松市では、地場産食品の放射性セシウム濃度が自主的に検査され、知識不足による体内放射能汚染のリスクについて、地方自治体が住民の意識を高めるために検査結果を知らしている。この長期的な研究では、2011年から2017年にかけて、二本松市の自家消費用の地場産食品を7種類の食品放射能測定器を用いて評定した。福島第一原発事故から6年後でさえ、二本松市の地場産食品から放射性セシウムが検出された。検査した食品の最高値が検出されたのは、2012年のものであり、その後は着実に下がっている。ほとんどの食品の汚染レベルは、暫定的な規制限度内に収まっていた。食用野草類ときのこ類の放射性セシウム蓄積度は高いまま推移しており、種子類のような食品の放射能で新しい傾向が見受けられた。本研究は、放射線被曝のリスク拡大の原因が、国民と食品流通業者の放射能に対する認識の低下でありうる可能性を浮き彫りにする。われわれは、将来にわたって内部被曝リスクの軽減を求める意識を高めるために、食品加工経路のさまざまな要所において食品監視手順を政府の責任で継続するように推奨する。


キーワード:放射能 食品検査 福島


1.序論


1.1.福島第一原子力発電所と採用した方法


日本は2011311日、巨大地震と津波に襲われ、福島第一原子力発電所(以下、福島第一原発と表記)の事故が引き起こされた。その結果、セシウム134とセシウム137(以下、それぞれ134Cs137Cs)など、大量の放射性核種が大気中に放出された[1]。そして、放射能は北東および東日本に拡散し、放射能汚染が重大な社会問題になって、放射性セシウムが今でも被災地域の農産品から検出されている。したがって、福島県民の安全と健康を守るために、放射能レベルの監視と測定を継続することが決定的に重要である。


日本政府の厚生労働省は2011317日、穀物類、野菜類、食肉、魚類の放射性セシウムについて、500 Bq/kgの暫定規制限度を公表した。しかし、201241日になって、離乳食、牛乳、飲用水、飲料類を除く全食品の限度値は100 Bq/kgに引き下げられた[2]。福島県内の地方自治体は、週に一回、または放射能レベルが暫定限度に迫ったときには、それ以上の回数の調査を実施するように求められた[3]。人間の食物連鎖の広範な汚染は回避され、放射能による深刻な健康リスクは見当たらなかった[4]。しかしながら、これで食品による将来の内部放射線被曝リスクが排除されたわけではない。


1.2.健康に対する放射能の影響


食品中の放射能に関する一般知識は、1986年のチェルノブイリ惨事など、過去の核事故によって培われてきた。放射能中毒の指標となる高レベルの137Cs体内蓄積は汚染食品の摂食によって起こり、癌の発症リスクを増大させる[5]。放射線被曝が身体におよぼす影響は、臨床的鬱病、不安障害のような心理的・社会的作用を含めて、チェルノブイリなど、過去の放射能事故で問題の核心だった[6]。チェルノブイリ惨事のあと、原子力発電所の近くの人間と家畜は、放射性セシウム汚染土壌で育った農産物の摂取による高レベル内部放射線被曝と診断された[7]。惨事から30年たっても、チェルノブイリ産の野生キノコ類はいまだに高濃度の放射性セシウムを含有しており、長期にわたる環境被害を反映していた[8]


内部放射線被曝と食品の安全性が福島住民の不安の主要原因であり、実のところ、137Csの半減期が長いこと(134Cs2.06年に比べて、30.2年)を考えて、被曝リスクは考慮に値する[9]。農作業と食品入手可能性の季節変動もまた、放射性核種レベルの変動の要因になりうることから、食品の安全性に対する不安を招く[10,11]。ロシアでチェルノブイリ惨事の影響を受けたブリャンスク州西部地域の場合、高レベルのCsを含むキノコ類とベリー類の消費が夏と秋に増加する傾向があり[12]、日本でも同様に、夏と秋に放射性セシウム濃度が高くなった[13]


この地域の住民は、自家消費用、贈答用、飼料用など、さまざまな理由により、自家用食料を栽培するのが通例なので、これは懸念されることである。放射性核種の自然崩壊によって、放射性セシウムの検出率は年ごとに下がっているが、ある種の食品は暫定規制限度を超えている放射能レベルを常に示している。地場産食品中の放射性セシウム蓄積は、消費者の健康に悪影響をおよぼす可能性が潜在的にある。


1.3.市民の放射能に関する知識と意識


福島県内、および茨城、新潟、山形、群馬といった近隣諸県における複数の事例では、事故後5年、またはそれ以上たっても、道路沿いの農家直売所で販売されている食用野草の放射性セシウム検出値が標準値を超えていたことが報告されている[14,15,16]。福島市は20185月、市内の果物・野菜流通業者の食用野草130点で標準値(100 Bq/kg)を超える放射性セシウムが検出されたと発表した。合計254パックの商品がすでに、地元農産物直売所など、県内5か所に出荷されていた[17]。その他にも、20165月の事例では、原発から141キロ南西に位置する栃木県宇都宮市の小学校の給食で供されタケノコから基準値を超える234 Bq/kgの放射性セシウムが検出された。流通業者によれば、試料品目は規制地域と知らずに採取されていた[18]


1.4.地域の放射能対策


二本松市は福島県内の59市町村のひとつであり、福島第一原発から35ないし70キロに位置している。その市域は、県内の他の市と違って、高レベルの放射能を含んでいるものの、避難を政府に命じられなかった。二本松市はそのため、住宅地、学校、公園、農地で今も進行中の除染など、放射線被曝リスクを軽減するためのさまざまな事業を実施してきた。それに加えて、低レベル放射能とともに生活することの意味合い、汚染食品が健康におよぼす潜在的な影響、外部および内部の放射線被曝を避ける方法について、放射線専門家が教授する毎年恒例の講演に小中学校が参加している。放射能学習に興味を表明するとともに、不安、懸念、疑問を口にする住民のために、専門家による放射能学習会が隔月ごとに開かれている。市は年に一度、新生児から中学生までの子ども、それに一部の高校生と成人を対象に、2か月にわたる期間の外部放射線被曝量を測定している[19]。さらに、住民の内部被曝検査がさまざまな方法で実施されている。


二本松市の住民にとって、野菜、食用野草、キノコ類といった自家栽培・採取植物を食するのが通例なので、住民に有害になりうる食品を特定するために、市内の数か所で食品の放射性セシウム濃度を測定できるようになっている。山間部で暮らす住民は、都市部の住民よりも自家栽培食品を食することが多い。とりわけ、地域の年配者たちには、山のなかで食用野草を採取したり、野生動物を狩ったりした共通の過去がある。


今回の研究では、福島県二本松市の住民の内部被曝リスクを突き止め、放射能汚染に対する知識不足に伴うリスクに関する住民の意識を高めるために、自家産食品の放射性セシウム濃度を調査した。


2.材料と方法


この201112月から201712月までにわたる長期研究では、野菜、穀物、果実といった農産物の放射性セシウム含有レベルが、二本松市役所、支所、住民センターに設置された食品放射能測定器を使って測定された。その食品試料は、二本松市の住民の自家消費用として自主的に持ち込まれたものである。各測定所で検査される産品として、販売または食堂、レストランにおける使用を意図する商品の測定は厳格に禁止されていた[20]


食品は、イモ類、野菜、穀物、豆類、果実、種子、食用野草、キノコ類、加工品に加えて、食肉、卵、乳製品、海藻、飲料を含む「その他」といった10群に分類された。調査期間の初期では、緊急事態に対処するために、組織的な形ではなく、臨機応変に試料が収集された。


食品は訓練を受けた自治体職員によって市内の18か所で検査された。すべての検査箇所で、週5日、午前830分から午後515分まで検査が可能だった。二本松市は20184月以降、住民が食品試料の検査を受けられる場所の数を7か所に減らした。


放射性134Csおよび137Csの濃度は、9種類の機器を備えた本庁放射性物質測定センターを除き、それぞれの検査箇所で単一の機器を使って測定された[21]。次に挙げる7種の機器、CAN-OSP-NAI(三鷹市、日立アロカメディカル)、CAPTUS-3000A(中国珠海市、ACROバイオシステムズ)、FF1(福島市、日栄工業)、FD-08Cs1000-1C(大阪市、テクノエックス)、AFT-NDA2(米国ハワイ州リフエ、アドフューテック)、LB2045(ドイツ、バート・ヴィルトバート、ベルトールド・テクノロジーズ)、AT1320(ベラルーシ、ミンスク、アトムテクス)が使われていた。食品検査の方法は、測定機器によって違っていた。機器に2類型があり、第一の類型では、試料が1リッターのプラスチック容器を満たす粉状に粉砕され、第二の類型では、試料が自然の状態のままで測定された。両タイプの機器ともに、最低限700グラムの食品試料が必要だった。


汚染測定値は、検査後ただちに住民に報告された。市当局はまた、毎月、測定箇所ごとの自家栽培農産品の測定値を、暫定規制限度を超過したものの濃度を含め、市のウェブサイトで報告した。


データは、マイクロソフトExcel 2016ソフトウェア(米国ワシントン州レドモンド、マイクロソフト)を用いて分析された。本研究は、二本松市当局の協力を得て、実施された。この研究は、日本学術振興会・科学研究費助成事業、認定番号JP25257504, JP24248060, JP17K19820による支援を受けた。


3.結果


3.1.収集された食品試料の概要


個人消費用に生産された地場産食品が放射性セシウム汚染を検査された。すべての試料は自主的に検査場のひとつに持ち込まれたものである。食品は、様々な種類のイモ類、野菜、穀類、豆類、果実、種子、食用野草、キノコ類、加工食品、および肉類、卵、酪農品、海藻などの種々雑多な食品、ならびに飲料を含む「その他」の10食品群に分類された。放射性セシウムの暫定規制レベルは、20100 Bq/kgである。このレベルは、20 Bq/kg未満、2050 Bq/kg50100 Bq/kg100 Bq/kg4段階に区切られている。


1は、2011年から2017年にかけて分析された食品のさまざまな範疇の概要を示す。2011年(2か月間)に計1,672点、2012年に19,030点、2013年に11,238点、2014年に7,521点、2016年に5,997点、2017年に4,194点の食品試料が検査された。検査された食品の点数は、2012年に最高値になったあと、年ごと着実に減少している。食品範疇のなかでも、野菜が収集された点数は31ないし51%に達し、毎年、最高率を記録している。


表1.二本松市で収集された食品試料の概要

食品群

イモ類
点数n (%)

野菜
n  (%)

穀類
n (%)

豆類
n (%)

果実
n (%)


2011

277 (16.6)

534 (31.9)

487 (29.1)

168 (10)

124 (7.4)

2012

2122 (11.1)

8183 (42.9)

1342 (7.0)

1532 (8.0)

2250 (11.8)

2013

1041 (9.3)

4974 (44.3)

245 (2.2)

602 (5.4)

1732 (15.4)


2014

662 (8.8)

3019 (40.1)

77 (1.0)

380 (5.1)

1117 (14.9)


2015

647 (8.9)

3220 (44.2)

34 (0.5)

370 (5.1)

1196 (16.4)


2016

544 (9.1)

3069 (51.2)

18 (0.3)

156 (2.6)

662 (11.0)


2017

363 (8.6)

2137 (50.9)

13 (0.3)

146 (3.5)

507 (12)


食品群

種子
n (%)

食用野草
n (%)

キノコ類
n (%)

加工食品
n (%)

その他
n (%)

点数計

2011

5 (0.3)

2 (0.1)

8 (0.5)

60 (3.6)

7 (0.4)

1,672

2012

518 (2.7)

1626 (8.5)

678 (3.6)

673 (3.5)

139 (0.7)

19,063

2013

276 (2.5)

1495 (13.3)

301 (2.7)

471 (4.2)

101 (0.9)

11,238

2014

248 (3.3)

1423 (18.9)

207 (2.8)

255 (3.4)

133 (1.8)

7,521

2015

324 (4.4)

925 (12.7)

163 (2.2)

262 (3.6)

147 (2.0)

7,288

2016

199 (3.3)

946 (15.8)

94 (1.6)

187 (3.1)

122 (2.0)

5,997

2017

166 (3.9)

559 (13.3)

59 (1.4)

147 (3.5)

97 (2.3)

4,194


3.2.食品群ごとの放射性セシウムの検出率


表2補足図S1は、各類型の食品群について、2011年から2017年までの放射性セシウム検出レベルを示す。6年間を通じて、100 Bq/kgを超える放射性セシウム検出レベルが最も多く検出されたのはキノコ類であり、2017年を除く各年の100 Bq/kgを超えるキノコ類は50%を超えている。それとは対象的に、イモ類のレベルが100 Bq/kgを超えたのは2013年に一度だけである。イモ類の放射能値は各年とも90%かそれ以上の試料が検出不能または20 Bq/kg未満であり、とりわけ最後の4年間では、試料の99%がそうである。野菜、穀類、豆類、果実といった他の食品範疇でも、2015年以降の時期で少なくとも90%の放射性セシウムが検出不能レベルだった。しかしながら、クリやギンナンといった種子群の場合、別の傾向が認められ、100 Bq/kgを超える種子試料は当初こそ減少したものの、2014年以降、放射能レベルの上昇が記録されている。食用野草は通常、山間地で生育することから、リスクの高い放射性食品であると考えられている。だからこそ、各年とも食用野草から高濃度の放射性セシウムが検出された。「その他」範疇は、食肉、蜂蜜、卵など、さまざまな試料を含んでいる。検査された試料の3分の2近くは、100 Bq/kgを超える濃度を示していた。「合算」欄は、6年間を通した全産品の検出率区分ごとの合算百分率を示す。イモ類の場合、<ND(検出不能値未満)の産品が最高百分率(98%)を示し、その一方、キノコ類の場合、100 Bq/kg未満の産品が最高百分率(75%)を示した。


2食品群ごとの放射性セシウム検出率の比較


イモ類

<ND (%)

≤50 Bq/kg (%)

≤100 Bq/kg (%)

100 Bq/kg < (%)

2011

91.3

7.9

0.7

0.0

2012

96.6

3.1

0.3

0.0

2013

98.1

1.8

0.0

0.1

2014

99.2

0.8

0.0

0.0

2014

99.2

0.8

0.0

0.0

2015

99.1

0.9

0.0

0.0

2016

99.3

0.6

0.3

0.0

2017

99.2

0.6

0.3

0.0

合算

98

2

0

0

野菜

<ND (%)

≤50 Bq/kg (%)

≤100 Bq/kg

100 Bq/kg < (%)

2011

92.9

4.9

1.5

0.7

2012

94.4

4.1

1.0

0.5

2013

97.0

2.4

0.4

0.2

2014

98.2

1.5

0.3

0.0

2015

98.9

1.0

0.1

0.0

2016

99.0

0.8

0.2

0.0

2017

99.0

0.9

0.1

0.0

合算

97

2

1

0

穀類

<ND (%)

≤50 Bq/kg (%)

≤100 Bq/kg (%)

100 Bq/kg < (%)

2011

 79.1

12.7

5.7

2.5

2012

 84.1

11.7

3.4

0.8

2013

 89.8

 6.9

2.9

0.4

2014

 92.2

 6.5

0.0

1.3

2015

 97.1

 2.9

0.0

0.0

2016

 88.9

 5.6

5.6

0.0

2017

100.0

 0.0

0.0

0.0

合算

84

11

4

1

豆類

<ND (%)

≤50 Bq/kg (%)

≤100 Bq/kg (%)

100 Bq/kg < (%)

2011

20.2

50.6

19.6

9.5

2012

55.4

29.1

9.7

5.7

2013

74.6

18.4

6.0

1.0

2014

89.5

 9.2

0.8

0.5

2015

93.5

 5.1

1.4

0.0

2016

95.5

 3.2

0.6

0.6

2017

97.3

 1.4

1.4

0.0

合算

69

21

7

3

果実

<ND (%)

≤50 Bq/kg (%)

≤100 Bq/kg (%)

100 Bq/kg < (%)

2011

 8.1

17.7

33.9

40.3

2012

 47.8

33.5

12.5

 6.2

2013

 80.7

15.2

 3.1

 1.0

2014

 93.2

 5.9

 0.9

 0.0

2015

 97.0

 2.8

 0.2

 0.0

2016

 99.1

 0.6

 0.3

 0.0

2017

100.0

 0.0

 0.0

 0.0

合算

77

15

 5

 3

種子類

<ND (%)

≤50 Bq/kg (%)

≤100 Bq/kg (%)

100 Bq/kg < (%)

2011

40.0

40.0

20.0

 0.0

2012

16.8

27.0

33.4

22.8

2013

38.8

38.4

13.4

 9.4

2014

61.3

27.4

 7.7

 3.6

2015

66.0

19.1

 6.8

 8.0

2016

73.4

 9.5

 8.0

 9.0

2017

74.1

12.0

 6.0

 7.8

合算

48

24

16

12

食用野草

<ND (%)

≤50 Bq/kg (%)

≤100 Bq/kg (%)

100 Bq/kg < (%)

2011

50.0

 0.0

 0.0

50.0

2012

31.5

18.9

22.8

26.7

2013

44.3

25.6

13.7

16.4

2014

56.7

21.5

11.4

10.4

2015

61.9

18.5

 8.1

11.5

2016

63.6

19.0

 8.2

 9.1

2017

69.6

15.0

 7.2

 8.2

合算

51

21

13

15

<ND (%)

≤50 Bq/kg (%)

≤100 Bq/kg (%)

100 Bq/kg < (%)

2011

 0.0

 0.0

12.5

87.5

2012

 8.0

 4.1

 7.2

80.7

2013

10.0

 5.0

10.0

75.1

2014

11.6

 5.3

 7.7

75.4

2015

14.1

 4.3

 9.8

71.8

2016

21.3

11.7

 7.4

59.6

2017

28.8

16.9

13.6

40.7

合算

11

5

8

75

加工食品

<ND (%)

≤50 Bq/kg (%)

≤100 Bq/kg (%)

100 Bq/kg < (%)

2011

18.3

16.7

28.3

36.7

2012

38.6

19.5

17.4

24.5

2013

62.0

26.1

 8.9

 3.0

2014

71.4

16.1

 6.3

 6.3

2015

75.6

14.9

 4.6

 5.0

2016

79.7

11.2

 4.3

 4.8

2017

89.8

 6.1

 2.0

 2.0

合算

60

18

10

12

その他

<ND (%)

≤50 Bq/kg (%)

≤100 Bq/kg (%)

100 Bq/kg < (%)

2011

28.6

 0.0

42.9

28.6

2012

24.5

18.0

19.4

38.1

2013

28.7

18.8

17.8

34.7

2014

30.8

16.5

21.8

30.8

2015

30.6

18.4

 7.5

43.5

2016

34.4

 9.0

 6.6

50.0

2017

35.1

19.6

14.4

30.9

合算

30

16

15

38


イモ類


野菜


穀類


豆類


果実


種子類


食用野草


キノコ類


加工食品


その他


補足図1.食品試料の年次放射性セシウム検出率(縦軸に%で示す)


3.3.食品群ごとの放射性セシウム検出率


1は、食品類型ごとの放射性セシウム濃度について、2011年から2017年までの分布とばらつきを示す。食品群それぞれの放射性セシウム濃度の年次傾向は、各年とも、食品群ごとに有意にばらついている。検出値が大きくなるほどに歪みが大きくなるので、ボックスプロット[箱型図]は対数尺度を用いる。


縦軸は、放射性セシウム検出値(Bq/Kg


a)イモ類


b)野菜

c)穀類


d)豆類


e)果実


f)種子類


g)食用野草


h)キノコ類


i)加工食品


j)その他


図1.a)イモ類、(b)野菜、(c)穀類、(d)豆類、(e)果実、(f)種子類、(g)食用野草、(h)キノコ類、(i)加工食品、(j)その他、それぞれの食品群の年ごとの放射性セシウム濃度ボックスプロット。


イモ類、野菜、穀類、豆類、(2011年を除く)果実は、平均値が各年とも常に規制限度未満、50 Bq/kg未満である。さらに、これらの範疇の異常値と最大値の数値は2012年から着実な減少を示している。


食品範疇のうち、キノコ類はそれとは対象的に、各年とも放射性セシウム濃度の最高平均値が認められた。常に規制限度を超える検出値が認められた他の食品範疇は、食用野草と「その他」であった。種子類に付加的な傾向が認められた。種子類は2014年以降、放射性セシウム濃度の年次平均値の上昇を示している。


4.考察


この研究による知見が放射線に対する意識と警戒心を顕にし、住民のあいだで事故以来の毎年、食品汚染に対する監視力が逓減している。


地域のモニタリング拠点で検査された食品点数の逓減傾向は、放射線リスクに対する意識と認知関連性が薄れ、住民全般にわたって逓減していることの結果である可能性がある。新聞やテレビなどのメディアは、食品の安全性とリスクの認識に関する情報を市民に伝えるうえで重要な役割を担う。しかしながら、時間がたつとともに、福島県内の状況と食の安全に関するメディア報道は減っている。放射性セシウム濃度が禁止限度を上回るときだけ、注目される。関心が低くなるのはまた、キノコ類、食用野草など、特定の食品や特定の食肉の放射能に対する認識が高まったせいであるのかも知れない。住民はメディアまたは他の情報源によって、汚染されている可能性のある農産物を識別する能力を獲得した。さらに、年配者や幼年の子を持つ母親など、食の安全に注意深い一部の住民が、自分たちの食品を検査し、食品検査サービスを利用する傾向が強まった人びとの多くを占めるようになったのかもしれない。それでもなお、自家栽培食品、とりわけ子どもや妊娠女性が摂食するものの放射能レベルを厳密に検査することは、すべての住民にとって重要である[22]


この傾向は住民レベルの放射能に関する意識だけでなく、食品の出荷者と流通業者の意識でもやはり同じなのかもしれない。福島県外に関していえば、検査システムが構築されていない地域で、一部の汚染食品が規制限度を超過しているのが見つかっている[23]。福島県に隣接する山形県で、山形新聞が2017年と2018年に、標準値を超える食用野草が5町で採集され、原発から112ないし174キロ離れ、また県外に立地する道路沿いの農家直売所で販売されたと報道した[24,25,26]


数年間にわたる食品の濃度検査による年ごとの放射性セシウム検出中間値、平均値、外れ値によって、食の安全にとって高リスクの範疇はどれかが判断できる。その例のひとつが、種子類である。過去の研究では、種子類は警戒度の高い食品群とは考えられてこなかったが、本研究の知見によって、警戒度の高い食品群と考えることができる。今回の研究において、クリ、ギンナンなど、種子類の放射性セシウム濃度は、先行研究[27]と一致して、初期には着実な低下を示していた。ところが、今回の研究では後年期の濃度上昇が認められた。考えられる汚染源は、土壌と落葉落枝に存在し、根から吸収された137Cであり [28]、結果として、長年後に生物濃縮された放射性セシウムだった。この知見は、非高リスク放射能食品範疇の放射能濃度の上昇を示しているので、脚光を浴びるべきである。それゆえ、予防策として、地場産食品の検査を見逃してはならないし、それが放射線に対する意識を高められたレベルで保つために不可欠な施策なのである。


食用野草とキノコ類は両者ともに一貫して汚染されており、試料が頻繁に100 Bq/kgを超える放射能を示している。1に示されているように、これら2件の食品範疇は1,000 Bq/kg超が検出された多数の試料を含んでいる。同様な結果が福島第一原発から20ないし30キロ西に位置する川内村でも得られており、そこでは、野生キノコ類試料81.2%が100 Bq/kgを超える放射性セシウム濃度レベルを示していた[29]


「その他」範疇はさまざまな食品試料を含んでいた。食肉、ハチミツ、卵といった試料が検査された。この範疇の検査結果は、100 Bq/kg内外で一貫している中間値と100 Bq/kgを超える平均値だった。これはおそらく、「その他」範疇のなかで最も頻繁に試料になった食品の一品目であり、汚染度が最も高い食品でもある野生イノシシ肉が検査されたからであろう。野生イノシシを狩猟し、その肉を食することは、汚染リスクが高くとも、二本松市の住民にとって、一般的な慣習のままである。野生イノシシの放射性セシウム汚染レベルが高いのは、餌に付いた土を摂食するイノシシの習性が原因なのかもしれない。野生イノシシは、植物、キノコ類、小動物など、汚染地のさまざまな餌を摂食しているものと思われる。2001年から2011年にかけてチェルノブイリ周辺のさまざまな地点の野生イノシシ肉の放射能を測定した研究もまた、調査地域のひとつで複数回、規制限度を超えていることを究明していた[30]。野生イノシシ肉を食することがありふれた習俗であることを考えると、しばしば狩猟をする二本松の住民は内部汚染リスクを抱えているのかもしれない。


その一方、イモ類と野菜の試料を検査した場合、少なくとも97%は、放射能が検出不能、つまり20 Bq/kg未満だった。これらの食品群、および夏から秋にかけて収穫される他の栽培植物は毎年、種子または苗として作付けされる。表土に根強く残り、森林のなかを循環する放射性セシウムは、そうした作物や種子を汚染するのが通例である。しかしながら、栽培のために土壌を耕耘すると、土壌中の放射性セシウムがかき乱され、植物体内に移動する量が減少する[31]。この知見はまた、日本人の食事の主食、米が(100 Bq/kgを超えて)汚染されている割合が2011年から2013年にかけて減少していたことを示した先行研究[32]とも一致している。


本研究には、いくつかの限界があった。その観測の性質から、汚染レベルの観察された傾向に関して、推論をおこなうのが困難だった。おまけに、二本松市の住民がみずからの食品の放射能リスクに関して、過剰または過小な意識を抱いているかもしれない。検査試料を自発的に提供した住民は、みずから食する食品に一層注意深いのかもしれない一方で、他の住民は、食品汚染に無関心か、あるいは意識が不足しているために、みずからの食品を積極的に検査しなかったのかもしれない。時間経過とともに関心が薄れるために、汚染食品に関して、多くの住民のリスク認識が薄れているのかもしれない。チェルノブイリ事故後でも同様に、多くの人びとが地場産の食品を摂食しつづけており、おそらく内部放射能による潜在的な被害に対する警告に無関心なためだったのであろう[33]。母親たちや年配成人ら、あるいは退職者たちは反対に、食の安全性に関して高いレベルの関心を示しつづけた[34]。本研究はさらにまた、政府支援の検査場からデータを収集した。そのために、異なった目的で品物を検査しているのかもしれない市民運営または商業運営の検査場など、他の情報源のデータは除外されている。末筆ながら、検査機器による放射性セシウム測定レベルの相違は無視できない。


5.結論


本研究は、内部汚染リスクに対する意識を高めるために6年間にわたり、福島県二本松市の地場産食品を評価した。大半の食品の汚染レベルこそ暫定規制限度以下に収まっていたものの、地場産食品の放射能検査は重要である。検査された品目の数が減っていることを考えると、自家消費用の地場産食品の放射性セシウムのレベルが暫定規制限度を超えているのではないかと懸念される。キノコ類、食用野草など、特定の食品範疇がいまだに高リスクと考えられている一方で、高リスクでない範疇であってさえも、全般にわたって地場産食品検査を躊躇なく継続することが食の安全性を保持するための唯一の方策である。


本研究の知見は、福島第一原発事故で被災した福島県の地場生育食品の検査を継続することの重要性の証拠を提示する。汚染された食品に対する関心の低下にともない、国民の意識が減退していることが考えられるので、放射線被曝のリスクが上昇している。食品の製造業者と流通業者もまた同様な問題を抱えていることも明白になっている。したがって、住民に野生動物と野草の摂食を避けさせること、地域社会全体の保健のために高リスク食品に注意して、内部放射能被曝リスクを排除するために食品検査を継続することが推奨される。食の安全性に対する消費者の信頼を獲得するために、食品検査に関する情報を拡散する努力が、国、県、地方自治体レベルで尽くされるべきである。


補足資料


次の資料が、https://www.mdpi.com/1660-4601/15/10/2289/s1にてオンライン閲覧可能――Figure S1: Radiocesium detection rates by detection level for each food group.

[訳注]「結果」欄に上掲、補足図1.食品試料の年次放射性セシウム検出率


著者らの貢献


N.K.は、データを管理、収集、分析。M.S.F.は、草稿を執筆。Y.K.およびA.K.は、草稿を改訂。H.S.およびT.T.は、研究遂行に貢献。M.J.およびS.K.は、最終稿を査読、承認。


資金調達


本研究は、日本学術振興会・科学研究費助成事業、認定番号JP25257504, JP24248060, JP17K19820による支援を受けた。


謝辞


著者らは、二本松市の方がた、ならびに食品検査のさまざま部分で本研究に関与いただいた他の方がたに感謝を申しあげる。


利益の相反


著者らは、利益の相反がないことを宣言する。


参照文献


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[訳注]20181117日時点で閲覧不可。


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© 2018 by the authors. Licensee MDPI, Basel, Switzerland.
本稿は、クリエイティヴ・コモンズ表示(CC BY)ライセンスの利用規約のもとで配布されるオープン・アクセス記事(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja)。


【クレジット】


International Journal of Environmental Research and Public Health, “The Knowledge and Awareness for Radiocesium Food Monitoring after the Fukushima Daiichi Nuclear Accident in Nihonmatsu City, Fukushima Prefecture,” by Kimura, S., et al., published on October 18, 2018 at https://www.mdpi.com/1660-4601/15/10/2289/htm.








ロシア・ツデー米国【#サン・オノフル☢廃棄物】#フクシマ☢惨事の再来か?

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RT




フクシマの再来か? カリフォルニア断層の上の核廃棄物の巨大な堆積が米国を脅かす


20181117日更新


稼働止めになったサン・オノフル原子力発電所。© Reuters / Alan Devall


何百万ポンドもの毒性廃棄物が、カリフォルニアの元民有原子力発電所の地下に埋められている。たったひとつの問題は? 有識者らは、同原発が大規模な断層線のうえ――しかも、津波の襲来帯のなか――に居座っていると警告する。


サン・オノフル原子力発電所は、人気のあるビーチからほんの108フィート[33メートル]に位置し、漏れが発覚してから、2015年に閉鎖された。南カリフォルニア・エディソン・エナージーは目下――連邦規制当局に承認された動きとして――破綻した原発の敷地内に放射性廃棄物を埋めている。


© RT


パブリック・ウォッチドッグスの事務局長、チャールズ・ラングリーは、使用済み核燃料と水は「混ざらない」ので、サン・オノフルの状況は「深刻な懸念事項」だとRTに語った。


ラングリーは、専門家らが実施し、施設内における廃棄物保管の極度のリスクを浮き彫りにした調査が、公衆の健康と安全の防護の責任を担う政府機関そのものによって「もみ消された」と主張した。


「施設の下に伸びる断層線が実際に存在します。


われわれは、この事実を地質報告書に記録しましたが


原子力規制委員会にもみ消されました。


施設は津波の襲来帯のなかにあり


しかもテロ攻撃に対して極めて脆弱なのです」


廃棄物収納容器73基のうち、これまでに29基が地表の下に埋蔵されている。しかしながら、ラングリーは容器が有毒核廃棄物の保管用に装備されていないと警告する。密閉格納システムの保証期間はたかだか10年であり、「容器本体の保証期間はほんの25年です」と彼はいった。



パブリック・ウォッチドッグスの役員、ニーナ・バビアスは、「だれかが地下に入るだけでも、地下監視システムを備えている必要があったはずです」とRTに語った。


バビアスは、サン・オノフル原発が時限爆弾であると信じており、次のように述べた――


「これは起こりえただけでなく、スリーマイル・アイランドで起こり、もちろんチェルノブイリで起こり、フクシマで起こった――そして、わたしたちが忘れていなければ、サン・オノフルでも起こりえた――のは、わたしにとって、ごく当たり前の話です」


エディソン社は、RTの問い合わせのいずれにも回答を拒んだ。しかしながら、同社はウェブサイトで、同社が「敷地外の施設を含め、燃料の移動選択肢の探求に前向きに取り組んでいます」と謳う。


だが、サン・オノフルは、カリフォルニアの科学者と環境活動家たちの懸念の元になる唯一の核施設ではない。


サンタ・スザーナ野外実験所――極秘にされている元・核試験施設であり、核の歴史上、最悪の核メルトダウン事故の現場――は、カリフォルニアの野火で焼かれた。1959年の災害のさい、恥ずかしい1979年のペンシルヴェニア、スリーマイル・アイランド炉心溶融事故よりも459倍の量の放射能が漏出した。


© RT


「社会的責任を果たすための医師団」は、土壌と植生のなかの毒性物質が煙や灰塵に含まれて空中浮遊しかねないという。現場の18キロ圏内に50万人以上の人びとが居住している。


調査報道記者、ポール・デリアンゾは、施設の機密状態を考えると、その場所について、アメリカ国民があまり知らないのも驚くべきことではないとRTに語り、次のようにいった――


「(1959年の)あれは、スリーマイル・アイランドよりも多い放射能を放出した――その他については、ごくわずかしか知られていませんが――とんでもない事故でした。あれは極秘とされた施設でして、われわれが知っていることにしても、長い時間をかけて、ちょっとずつ知ったのです」




デリアンゾは、政府が施設は安全であると請け合っているが、信じられますかと質問されて、役人の保証を信頼すると危ないと警告し、次のように語った――


「機密なので、サンタ・スサナで起こったことにしても、多くは機密扱いにされましたので、信用できませんし、連中があなたに決して告げようとしない物事があり、しくじった場合だけ、それが漏れ出すのです」



【クレジット】


Rosia Today, “A Fukushima waiting to happen? Huge stockpile of nuclear waste on California fault line threatens US,” posted on November 17, 2018 at https://www.rt.com/usa/444089-california-nuclear-san-onofre/.







CBS60ミニッツ【#フクシマ☢惨事】この世の地獄に助っ人ロボット投入

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フクシマ惨事、助っ人ロボットが登場


強烈な地震と津波が福島第一原子力発電所の核メルトダウンを引き起こしてから7年後、レスリー・ストール記者が前例のない修復事業を報告する


20181125

レスリー・ストール特派員 Correspondent, Lesley Stahl


【報道テキスト】


巨大な地震と津波が日本北東部を襲い、チェルノブイリ後、史上最悪の核惨事となった事態に福島第一原子力発電所を陥れてから、7年以上たちました。


6基の反応炉のうち、3基がメルトダウンしたとき、熱した燃料が溶岩になりました。そして鋼鉄の壁とコンクリートの床を焼き貫きました。本日にいたるまで、反応炉建屋内部のどこに燃料があるのか、正確に知る者はだれもいません。あまりにも致死性が高いので、探しに行ける人間はいないのです。そこで、損壊原発を所有する日本企業は、ロボットに着目しました。


福島第一原子力発電所、2号炉と3号炉。CBS NEWS


4本足のロボット、階段を昇るロボットがあり、水浸しの反応炉の中に泳いで入ることのできるロボットさえあります。ロボットは、状況を読み取り、放射線レベルを測定し、見失われた燃料を探すために、3Dスキャナー、センサー、カメラを装備しています。


これは、2000億ドルの経費と数十年の歳月を要すると予想される、大規模な修復事業の一環なのです。


レスリー・ストール「これほどの修復事業のようなものが、つもり規模の点で、過去にありましたか?」


レイク・バレット「いいえ、ここのこの状況はユニークです。これは、人類史上で起こったことがありません。わたしたちが過去に経験したことのない課題です」


実に、この世の地獄でした」


レイク・バレットは核技術者であり、米国の歴史上で最悪の核事故、スリーマイル・アイランドの修復事業を監督した元エネルギー省職員です。彼は、原発を所有し、見失われた燃料を探す責任を負う東京電力株式会社によって、上級顧問として雇用されました。


バレットはまた、足場からぶら下がり、装置の上によじ登るように、技術者らが設計している、この6本足のクモ型ロボットのような新型ロボットの開発に関して助言もしています。彼はロボットを、次のように言い表します――


レイク・バレット「実際に長い、筋骨たくましい腕やレーザー切断機を実際に備えていたり、内部に入って、溶融燃料を実際に採取し、新設計の容器に収容して、回収したりする非常に先進的なロボットです」


レスリー・ストール「人間を月に送りこむようなプロジェクトと考えるべきですか?」


レイク・バレット「わたしの考えでは、もっと大きな事業です。しかし、月に人間を送る意思があったように、ここにはこれを片付ける意思があります。そして、これらの技術的な仕事は首尾よく達成することが可能です」


レスリー・ストール「この場で埋めてしまわないのは、なぜですか? チェルノブイリでやったようなことをしないのは、なぜですか? 単純に覆いをかけ、埋めてしまって、おわかりでしょうが、閉じ込めたまま、ここに残すのは、どうですか?」


レイク・バレット「第一に、ここは海のすぐ側です。わたしたちは海から90メートルほどのところにいます。当地、日本には台風があります。さらにまた、地震頻発地帯です。将来にも地震が勃発するでしょう。ですから、日本人でも誰でも対処したいと思わない未知の事態があるかもしれません」


米国史上で最悪の核事故、スリーマイル・アイランドの修復事業を監督したレイク・バレット。CBS NEWS


メルトダウンを引き起こした地震は、マグニチュード9.0と評価され、日本の記録に残るかぎりで最大に強烈な事象となり、車両、家屋、町全体を押し流した一連の津波を発生させました。15,000人を超える死者が出ました。


福島第一原発では、巨大な波が施設に打ち寄せて、反応炉建屋を水浸しにし、炉心の過熱を防いでいた冷却水ポンプの電源を壊滅させました。レイク・バレットは、今でも放射線レベルがかなり高い反応炉建屋を見渡す丘にわれわれを連れて行ってくれました。


レスリー・ストール「では、これがまさしく現場――すべてが起こった現場なのですね? 惨事の核心部が、まさしくここなのですね?」


レイク・バレット「まさしく。1号炉、2号炉、3号炉です。100マイルかなたで、地震が勃発したとき、これらの建屋がすべて揺れ、これらの塔がすべて揺れました。しかし、設計のおかげで、無事でした。ところが45分たって、波が殺到し、地震による津波なのですが、高さ45フィート[13.7メートル]の7つの波が押し寄せたのです。そして、われわれが『発電所内全電源喪失』と呼ぶ事態に構内を陥れたのです。電源がなくなりました。炉心が熱くなり、どんどん熱くなり、ついにウラニウムが溶けはじめました」




レスリー・ストール「ここで放射性廃棄物は、何トンぐらい生成されたのですか?」


レイク・バレット「建屋ごとに、おそらく500トンから1,000トンです」


レスリー・ストール「では、放射性廃棄物が命にかかわるのは、何年ぐらいですか?」


レイク・バレット「数千年間は、命にかかわります」


レスリー・ストール「わたしたちが現実に話題にしているのは、三重のメルトダウンですね?」


レイク・バレット「まさしく。実に、この世の地獄でした」



メルトダウンが大規模な爆発を引き起こしので、放射性塵芥のプルームが待機中に送りこまれ、半径12マイル[20キロ]圏内の全員――約160,000人――が避難を余儀なくされました。東京電力の職員らは数週間後、いわゆるペコペコ外交――謝罪の気持ちでひれ伏し、住民たちが叱責するままに耐えること――に専従しました。


何千人もの作業員が田園地帯に送りこまれ、土砂を掘りあげ、袋――夥しい数の袋――に詰めるなど、放射能が触れたありとあらゆるものの除染に従事しました。


だが、避難区域の多くが除染されてきたものの、放射線レベルが今でもあまりにも高いままであり、静寂と死の気配に覆われた、全体がゴーストタウンのような地域がいまだにあります


発電所内では、1日あたり約150トンの地下水を汲みあげ、目の届く限りに立ち並んでいるタンクで保管しています。


レイク・バレット「ここでは、水が常に大問題です。炉心がすべて除去される日まで、水は大問題のままでしょう」


取材陣が気づいたのですが、作業員が反応炉に近づけば近づくほど、たくさんの防護服を着用しなければならなくなります。


身支度するレスリー・ストール特派員とレイク・バレット。CBS NEWS


われわれはジッパー留めのタイヴェク・カヴァーオールを着せられ、2足のソックスと三重の手袋を着用させられました。


レイク・バレット「OK、テープ止めがすんだ」


肌は一寸たりとも露出していません。何重もの防護装備には、マスクもありました…


レスリー・ストール「少し緩いです」


レイク・バレット「締めてあげる」


…締めつけると、視界が曇ることが多いです。


レイク・バレット「どんな感じ?」


レスリー・ストール「上等」


そして、われわれが被曝した放射線量を登録するための線量計。


戦闘準備完了。われわれは東京電力の作業班に付いて、日本人が311と略称する、7年前、あの3月の日にメルトダウンした反応炉のひとつ、3号炉に行きました。


レスリー・ストール「レイク!」


レイク・バレット「着きました。3号炉です」


レスリー・ストール「気をつけて。段差だわ」


レイク・バレット「地中にセシウムがあるので、これは遮蔽盤です」


事故以来の年月のあいだに、建屋の被害は大いに修復されています。



だが、この場で長時間をすごすのは今でも危険です。われわれがいることができたのは、ほんの15分間でした。


レスリー・ストール「わたしが見ている、この数値、566ですね」


レイク・バレット「正解。その数値が、わたしたちのいる場の放射線レベルを示しています。ここは、とても高い。だから、ここには短時間いるだけです」


レスリー・ストール「あなたとわたしは、たった今、炉心にどれくらい近づいていますか?」


レイク・バレット「溶融…溶けた炉心は、あっちの方向、70フィート[20メートル]ほどにあります」


レスリー・ストール「ここから70…」


レイク・バレット「ここからです」


レスリー・ストール「…溶融炉心?」


レイク・バレット「正しく、ここからすぐ向こうです。わたしたちにしても、床から抜け落ちたことは別にして、なにも分かっていないですが」


レスリー・ストール「そこで、たった今、それを見つけるために作業員を送りこむとすれば、どれぐらいのあいだ、生きていられますか?」


レイク・バレット「ほんの数秒で過剰に被曝しますので、その場に作業員を送りこむ気になる者はいません」



ロボットの登場です。


レスリー・ストール「これは、ロボット研究センターです」


川端邦明博士「そうです。これは、遠隔制御技術を開発するための施設です」


日本政府は2016年、1億ドルの資金を投入して、原発の近くに研究センター[楢葉遠隔技術開発センター]を開設しており、そこでは、国内トップ・クラスの大学と技術系企業から集められた技術者や科学者の研究チームが新世代のロボットを開発しています。


川端邦明博士は、センターの主任研究員です。


川端邦明博士「これは、わたしどもの最新型ロボット、J11です」


レスリー・ストール「では、11号ですね。それに、障害物コース型ですね」


川端邦明博士「そうです。操作員はロボットの前部にあるカメラの映像を使います。だが、訓練にとても長い時間が必要です。非常に簡単に見えますが、ほんとうに難しいですから」


彼らはまた、ここ、ロボットが反応炉の内部で撮影した3Dデータをこのスクリーンに投影する、ヴァーチャル・リアリティ室でも訓練します。彼らは特殊なメガネを使って、人間に行けない場所に行くことができます。


レスリー・ストール「それでは、わたしたちは実際に反応炉の一部を通って…」


川端邦明博士「う~ん」


レスリー・ストール「…歩いていける」


川端邦明博士「う~ん。ある種、現実のような没入体験は感じます」


レスリー・ストール「そう…まるでそこにいるような」


川端邦明博士「そうです」


レスリー・ストール「わたしなら実際、やめときたいと思います。つまり、わたしにとって、それがどれほどリアルに感じるかということです。ここのように、わたしたちのこの状況をくぐっていくのです。わたしは引っこまなくてはいけません」


川端邦明博士「ああ、そうですね」



だが、あらゆるハイテク訓練やノウハウを積んだとしても、ロボットは問題に突入してきました。初期型のロボットにとって、放射線レベルは――電子回路やカメラを焼き切るほど――強烈でした。


レイク・バレット「ロボットの寿命は、数時間でした。数日もってほしいと願いましたが、数時間でした」


レスリー・ストール「スコーピオンと名づけられたロボットになにが起こったのか、教えてください。これは高度に洗練されていて、これが答えになるとだれもが考えたとわたしは思います」


レイク・バレット「これは、わたしたちが格納容器の内部に投入しようとしていた最初のロボットでして、その中に炉心がありますので、わたしたちとしても、最大限の情報が必要だったのです」


これがスコーピオンで、その任務に推定1億ドルがかけられました。炉心への道筋で平らになり、細いパイプや通路をくぐり抜けられるように設計されていました。サソリのように、尾部を振り上げます。


レイク・バレット「先に照明具付きのカメラを装着した尾部が持ちあがります。独自の照明がなければならないからです。中は真っ暗です。常備灯はありません。だから、そういう計画でした。わたしたちは大いに期待して、望みをかけました。やり遂げました。準備に1年かかり、激務でした」


だが、スコーピオンが内部に送りこまれたとき、10フィートも進まないうちに、なんらかの瓦礫にぶつかり、動きが取れなくなりました。


レスリー・ストール「フラストレーションがどれほどのレベルだったか…想像もできません」


レイク・バレット「そうですね。でも、あなたは…時には成功以上に、失敗から学ぶものです」


彼らは、水浸しの反応炉のひとつの内部で泳ぐように設計され、リトル・サンフィッシュ[幼魚マンボウ]と名づけられたロボットでもっと大きな成果をあげました。リトル・サンフィッシュ派遣の準備中、技術者らは数か月かけて、この巨大な模擬実験水槽のなかで試運転を実施して、プロペラ、カメラ、センサー、長さ60メートルの電線――すべて強烈なレベルの放射線に耐えられるそうに製作された装備品――の微調整をやりとげました。


リトル・サンフィッシュ。CBS NEWS


彼らは派遣計画策定の一助に、核反応炉5号を使いました。津波が襲来したとき、この炉はメルトダウンしていなくて、リトル・サンフィッシュが偵察することになる炉とほぼ同一のものでした。ついに昨年になって、この遊泳ロボットは反応炉の核心部への侵入進路を取りました。見失われた燃料を見つけるためです。バレットは、そのロボットが反応炉の内部のパイプ類や瓦礫の迷宮をくぐり抜けるように誘導する様相を見せるために、われわれを5号炉に連れて行きました。


レイク・バレット「リトル・サンフィッシュはこの端を下降し、反応炉容器の下にある、この小さな進入路を通り、水面下を遊泳したのです」


レスリー・ストール「これが、リトル・サンフィッシュが通った経路なのですか?」


レイク・バレット「はい、そうです。リトル・サンフィッシュはこの入口を抜けて遊泳し、この区域に下って、側壁を周回しました。この格子が失くなっていたものですから、そこを通って下降しました。溶けた燃料はここからこぼれ落ち、非常に高い圧力がかかって、噴出しました。そして、火山内の溶岩のように、ゆっくりこぼれ落ち、この格子を抜ける進路を焼き尽くしながら、床に落ちました」


これが、技術者らが水浸しの内部構造のパイプや昇降口を抜けるように誘導したとき、リトル・サンフィッシュが見たものでした。ロボットは、瓦礫、燃料棒、半壊した設備の寄せ集めを顕にする映像と固体化した溶岩のように見えるものの曖昧な兆候――東京電力の職員らのいう、見失われた燃料の最初の兆候――を光ケーブルで送り返してきました。


レイク・バレット「これら、これまでのロボット段階は、有意義な歩みであってきました。それでも、とても、とても長い旅路の小さな歩みにすぎません」


レスリー・ストール「あなたがおっしゃるには、『太鼓判』付きの数十年がかかるのですね。あと何十年かかりますか?」


レイク・バレット「確かなことは、わたしたちにも分かりません。ここのゴールは、40年…30年…40年先です。お察しでしょうが、わたしは個人的に、むしろ50年…60年先のことだとさえ考えていますが、それも…」


レスリー・ストール「おお、たぶんもっと長く先」


レイク・バレット「さて、もっと先かもしれません。ですが、現実として、これは以前に対処したことの決してなかった課題なのです。しかし、すべての一歩は前向きの一歩です。その一歩から学び、次の一歩に前進するのです」


Produced by Richard Bonin and Ayesha Siddiqi

© 2018 CBS Interactive Inc. All Rights Reserved.


アメリカで知名度と経験が抜群の放送ジャーナリスト、レスリー・ストールは、1991年以来、60ミニッツ特派員。


【クレジット】


CBS News 60 Minutes, “Robots come to the rescue after Fukushima Daiichi nuclear disaster,” reported by Lesley Stahl, published on November 25, 2018 at https://www.cbsnews.com/news/robots-come-to-the-rescue-after-fukushima-daiichi-nuclear-disaster-60-minutes/.








【#ハンフォード☢ニュース】連邦政府、ハンフォード疾病作業員救済州法を提訴すると脅迫

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トリシティ・ヘラルド紙

[訳注]トリシティズTri-Cities)とは、米国ワシントン州ハンフォード核保留区の後背地に位置する3自治体、ケニウィック、パスコ、リッチランドを中心とする広域都市圏。人口は2010年国勢調査で253,540人。

連邦政府、ハンフォード疾病作業員救済州法を提訴すると脅迫

アネッテ・キャリー ANNETTE CARY 

20181128



2018年に制定された州法は、ハンフォード作業員らが申し立てる幅広い疾病について、首尾よく承認されるようになることを目指していた。


作業員らが救済申し立て手続きを取るさい、その疾患が――呼吸器科や神経科の病気、あるいは多発性の癌であれ――核保留区で働いたことが原因であると証明することが不要になった。


司法省がジェイ・インスリー知事宛てに送付した書簡によれば、連邦政府をじかに規制することになる新法は、合衆国憲法の優越条項を侵害するという。


州法はまた、連邦政府に対して州内の他の団体とは違った基準を適用しており、これは差別であると司法省は主張する。


ワシントン州労働産業省に承認された申し立てにもとづいて、病気になった作業員の医療費と逸失賃金が補償されることになる可能性があるので、エネルギー省は作業員賠償請求に備えて自家保険*をかけている。

*[訳注]行政や企業などの経済体が不測の事態を想定して準備金を用意しておくこと。


司法省は、事態が訴訟なしに解消しないようでは、週末までにワシントン州に対して提訴に踏み切る意向であると明言した。


司法省はワシントン州に対して、病気になったハンフォード作業員向けの州政府労働者補償プログラムの拡大を阻止するために提訴すると脅迫している。


労働産業省のティム・チャーチ広報官は、同省が州司法長官室と連携して、連邦司法省の主張を聴取する意志があると同省に告知したといった。


州政府のボブ・ファーガソン司法長官は、「司法省が法廷でこの法律に異議を申し立てるとすれば、わたくしは同法を弁護するのを楽しみにしております。ハンフォード作業員たちは危険な作業でこうむった健康問題の補償を受けて当然です」と声明で発言した。


司法長官室は、ファーガソンの指揮のもと、司法省を相手にした裁判沙汰で負け知らずであり、州法が維持される自信があるとファーガソンは明言した


作業員らとその家族は2018年の法律制定のまえ、ハンフォード作業員が賠償を申し立てても、却下されるのが通例であると証言した。


作業員支援団体、ハンフォード・チャレンジによれば、新法が採択されるまでは、ハンフォード作業員の申し立てが却下される確率は、州に対するその他の申し立てに比べて5倍だった。


新法が発効した6月以来、83件の申し立てが見直された。労働産業省によれば、そのうち、28件が認可、6件が却下され、残りは保留されている。


ハンフォード・チャレンジは、却下に異議を唱える作業員らが攻撃的なエネルギー省の法的戦術で迎え撃たれ、補償措置はエネルギー省による干渉の余地を備えているという。


ハンフォード・チャレンジと配管工労働組合598支部は、新法支持を要請するインスリー知事宛て書簡を発送した。


エネルギー省提供


その書簡には、同法が憲法に違反するものではなく、むしろ「ハンフォード浄化事業にともなう危険に対する不適正な措置に関する文書化された歴史および作業員らの賠償請求にいたるその結果に対処する適正な反応」であると記されていた。


同書簡にはまた、新法には「雇用の結果として、衰弱するのみではなく、死亡したり、病気になったりしたまま放置されるハンフォード作業員らが直面する現実的な問題に対処する」方策が備わっているとも記されていた。


ワシントン州の消防隊員らもまた、労働災害賠償申請の要件を緩和した。


両方の事例とも、病気の原因になった可能性のある化学被曝を特定するのが困難であるかもしれない。


しかし、法定化された法案に対する産業界と保険業界の批判派は、立法議員らの面前で、ハンフォード法案は消防隊員保護法案に比べて大幅に救済対象が広範にわたると論じたてた。


ある議会職員の報告によれば、批判派は、ハンフォード法案を「適用範囲の広がりと包括性には息を呑むようだ」と評したという。


職員の反対論概要報告には、「同法案は、条件と特定クラス作業員や被曝の関連性をまったく考慮に入れていない」と記されていた。


引退予定のラリー・ハラー議員(共和党・リッチランド選挙区)主導した法案は、発症原因がハンフォード作業であると立証する責任を作業員からエネルギー省に転嫁する。

申し立てをつかさどる州労働産業省は今や、対象疾病がハンフォードにおける化学・放射能被曝の結果であるとみなさなければならなくなった。


エネルギー省は、喫煙、生活習慣、遺伝要因、体質、あるいは他の仕事か家庭内における毒性物質被曝など、他の発症原因を明かす証拠をあげて、対抗するかもしれない。


緩和された賠償基準は、核保留区にたくさんある区域で8時間労働にほんの1日就役しただけであっても、いかなる作業員にも適用される。


1518 平方キロの敷地における適用区域には、第二次世界大戦中や冷戦中の国家核兵器計画に向けてプルトニウムが製造されていた区域が含まれる。


それにはまた、低レベル放射性または危険化学廃棄物のための中央ハンフォード埋立地など、廃棄物が最終処分向けに処理することができるようになるまで保管されている区域、それに環境除染と関連する区域も含まれる。


賠償申請の提出を志望する現役作業員または元作業員は、リッチランド120番街、ブラドリー・ビル309号、ハンフォード労働力雇用センターにて、無料の支援を受けることができる。電話番号は、509-376-4932


Annette Cary: 509-582-1533; @HanfordNews


【クレジット】


The Tri-City Herald, “Feds threaten to sue over law to help sick Hanford workers,” by Annette Cary, published on November 28, 2018 at https://www.tri-cityherald.com/news/local/hanford/article222309350.html








NJヘラルド【旅行】#フクシマ☢惨事被災現地の休日探訪

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核荒廃地の休日


2018124

ニュージーランド・ヘラルド NZ Herald

アイリス・リデル Iris Riddell


アイリス・リデルは、2011年の津波で破壊された福島第一原発を訪問する。


「このツアーであなたが浴びる総放射線量は、0.01ミリシーベルト――歯科診療X線とほぼ同じ――になるでしょう」


これは、ほんの40分前にわたしたちが告げられたことである。わたしたちのバスが機能をなくした福島第一原子力発電所の反応炉のあいだをノロノロ進み、携帯放射線量計がピッピッと鳴り、点滅していたとき、わたしはそのことを銘記しておこうと努めた。ツアーの同行者が息もつかずに大声で数値を読み上げたとき、わたしはせわしなくノートに書きつけた。11.98ミリシーベルト。15ミリシーベルト。42ミリシーベルト。130313


ガイドがバスの前部から、「これで最高です。このツアーで体験する最高値ということになります」と声をかけてきた。


わたしは、ツアー出発のさいに渡され、首にかけていた線量計に目を走らせた。約束どおり、0.01ミリシーベルトを示していた。


歯科診療X線と同じ。


その日の始まりはすこぶる簡単、わたしたち8人――わたしも含めて南相馬から3人、仙台から2人、福島市から2人、米国と東ドイツからの来訪者――は、原ノ町駅の外、雨のなかに集まって、笑顔で自己紹介しあった。わたしたちのガイド、佐々木さんが借りてきたミニヴァンで駅前にいて気づいたので、わたしたちは乗りこみ、最初の目的地、富岡のセンターで事前説明を受けるために出発した。


わたしたちが原発内に持ちこむのを許された物品は、鉛筆とノートブック、それに構内コンビニ、ローソンで福島第一原発クリアファイルを記念品として買いたいと思ったときに備えて、1,000円札一枚だけだった。


そして、オーッ、信じられないことに、わたしたち全員がそのクリアファイルを買いたがった。


福島第一原子力発電所の光景――4基の反応炉、自動運転バス、構内を歩き回る平服の作業員たちの画像をあしらったクリアファイルである。


読者にお聞きしたいが、みなさんは世界のどこで核反応炉をあしらった記念品を入手なさろうとするのだろうか? わたしたちの訪問後ほどなくして、東京電力は世間の反感にさらされて、クリアファイルの販売を取りやめた。


わたしとしては、ビックリしたとは言えない。


放射線量レベルの検査。Photo / Iris Riddell


現場入構は特定の車両だけに許されているので、わたしたちは原発に向かう別のバスに乗り換えた。構内に向かう途中、無断入構を狙う無認可車両を追跡する任務に就いているパトカーの警察官のうんざり顔を見かけたのは言うまでもないが、わたしたちのバスは複数の検問所を通過した。


原発に向かいながら、わたしは今どこにいるのか、自分に言い聞かせなければならなかった。すべて、あまりにも……ありふれた光景だった。入り口は清潔で現代的、駐車場は車とバスで満杯、あちこちでスニーカーと日常服の作業員たちが弁当のビニール袋をぶら下げて歩いていた。この点では、当代最悪の核災害現場のひとつであるとは感じ取れなかった。原発を除染し、解体する職務のために、5,000名内外の東京電力従業員が現場で働いている。楽観的にいって、30年ないし50年の期間と1260億ドル[142000億円]を超える経費がかかる大仕事である。


わたしたちはまた、15キロ南の第二原子力発電所の解体も計画されているとも聞いたが、それに何年かかるのか、ことばもない。


原発入構は空港の保安検査を通るのに似ていた。係員らはわたしたちの文書を点検し、わたしたちに外来者札とベストを交付し、線量計をわたしたちに手渡して、ベストの紐に装着させた。金属探知機と二重ゲイトを通って、入構完了。わたしたちは側面の小部屋に集められ、もう一回、安全のための説明を受けた。わたしたちのドイツ人同行者はジーンズの膝に裂け目があったために、ちょっとした騒ぎを引き起こした。わたしたちは長袖シャツとズボンを着用してくるように指示されており、破れのある衣服は禁制品だった。職員らが急いで粘着テープを使って、ドイツ人のジーンズを補修し、わたしたちのガイドは笑いながら、こんなことは初めてではないと言った。


わたしたちは外に出て、非常に新しくてピカピカのバスの列の傍を通った。東京電力のガイドは誇らしげに、これは自動運転バスであり、最近、取得されたとわたしたちに教えた。ところが、わたしたちのバスは時代遅れの運転手つきであり、こうしてわたしたちは出発した。


ツアーは事もなく始まった。わたしたちは、カフェテリア、コンビニ、医療施設、作業員休憩所を収容した新築の休憩建屋の傍を通った。400本ばかりあるという桜の並木道を進んだ。わたしたちはシートがビニールで覆われた車の列を見たが、その赤色の大型プレートは原発周辺限定の使用許可を意味しており、汚染リスクを抑えるために、そうした車両の外部持ち出しは許されていなかった。外に出られないので、現場に特別な給油所が設けられていた。ツアーのこの時点で、放射線レベルは刮目すべき0.4ミリシーベルトに跳ね上がっていた。


いつ夏の台風が襲来してもおかしくない、どんよりした、風が強い朝だった。そびえ立つ鉄塔と遠隔操作クレーンが灰色の雨を通して見え隠れしていた。


フクシマと同義語になった青色か白色の防護服を着用した作業員が多くなりはじめた。施設は正面玄関の輝きに比べて少しばかり見劣りしていた。サビ、雑草、ネジ曲がった鋼鉄――ここに去来した事態の兆候。


フクシマで放棄されたビルのトイレ。Photo / Iris Riddell


OK1号炉と2号炉*に着きます」と、ガイドが言った。バス内に緊張と不安の気配が生まれた。現実に反応炉を見ることになるとは、わたしたちの誰も予想していなかったが、コーナーを曲がると、それがあった。バス内に怖れのささやき声が低く高く流れた。わたしたちのまさしく眼の前に、最初に爆発した1号炉の残骸、そのすぐ側に2号炉があった。2号炉は原型を保っていたので、本来の構造を見ることができ、3号炉は、使用済み燃料棒を除去するために建造された巨大なドーム状円筒を屋上に載せていた。3号炉内に565本の燃料棒が残されていて、関係者らはそれを除去し、処分するための解決策を求めて取り組んでいる。これは無理難題である。

*[訳注]筆者は反応炉建屋を「炉」と略して表記。


バスは、反応炉を見渡す展望台から、建屋の基部まで丘をノロノロ運転で下った。近くの建屋の壁に、矢印と「津波」の表記が付され、それ以上の説明がいらずにペイントされた鮮明な水位線のそばをわたしたちは通った。4号炉は、除染と廃炉作業の一助に新設された4200トンの構造物に包まれている。


バスは3号炉まで進みつづけた。


わたしたちのガイドは、「ここで、緑色のトラックを何台か見ることができます。関係者たちは燃料棒を取り出す方法を実験していて、これらのトラックを試しているのです。今日、見ることができて、みなさんはラッキーです」といった。じっさい、防護服姿の男たち6人ほどが、反応炉につながる傾斜路で忙しく立ち働いていた。


ツアーを終えるために丘を昇る帰路に付くまえ、わたしたちが最高値――313ミリシーベルト時を経験したのは、その直後のことだった。


フクシマで放棄された介護施設の玄関口。Photo / Iris Riddell


わたしたちは、カレーライス、カツ丼、ラーメン、うどんのメニューから選べる新築カフェテリアでランチを摂った。作業員たちはわたしたちの存在に戸惑っているようだった――わたしはランチを食べながら、連日、複数回のツアーが実施されているが、外国人のツアーはその1割を占めているに過ぎないことに気づいた。


ランチ(そして、福島第一原子力発電所訪問記念クリアファイルの買い物)を終えると、広大な世界への復帰である。わたしたちは質疑応答のために富岡町のセンターに取って返し、ついで被災地域ツアーをはじめた。


最初の訪問先は、元ゼネラル・エレクトリック発電所技師で著述家、東北エンタープライズ創立者、名嘉幸照だった。彼はわたしたちに、当時の彼の記憶、事象が進展していたとき、彼が体感した責任と無力を語った。彼がそれを食い止めるためにできることは何もなかったが、彼がいまだにその重荷を背負っているのは明らかだった。


わたしたちは別れを告げて、旅をつづけ、汚染土壌の暫定保管施設地帯、放棄された介護老人ホーム、魚の孵化場、放棄された小学校を訪れた。


これらの場所を訪問することの心理的衝撃がどのようなものか、語るにしても、わたしはことば探しに苦しむ。


学校は、目下、わたしが勤務している学校とたいして違わず、わたしの学校は数年前と同じように見えるので、非常に厄介だった。このような場所すべて、喪失と苦痛の感覚が非常にリアルだった。


福島県内の小都市、南相馬で暮らしていると、わたしと惨事のあいだに緩衝帯が存在する。わたしのキュートで小さなアパートと学校を行き帰りし、お気に入りの食品店で1週間分の野菜類の買い物をし、川沿いを歩き、わたしはたいがい快適な生活をしている。


町のあちこちにある放射線量計(測定値すべてが許容範囲内)を除いて、地震とその結果である津波を日常的に思い出させるものはあまりない。時には忘れるのがたやすい。だが、だれもがその自由を享受しているわけではない。あまりにも多くの人たちが2011年のできごとですべてを失ったのであり、わたしにとって、これらの場所を訪れると、すべてが鋭い焦点を結ぶ。


とても多くのことが救済事業のためになされてきたが、なすべきことが今なお多くある。原発それ自体と地域社会で、数十年の事業。


物事は過去の姿を取り戻すと考えるのは、幼稚である。この地域は常に傷を抱えている。しかし、わたしは福島の人びとの強さを信じている。


【クレジット】


The NJ Herald, “Japan: Holiday in a nuclear wasteland,” by Iris Riddell, posted on December 4, 2018 on https://www.nzherald.co.nz/travel/news/article.cfm?c_id=7&objectid=12171050.








救援連絡センター【#郡山通信】放射能と共存する「までい」の村

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国家権力による弾圧に対しては、 犠牲者の思想的信条、 政治的見解の如何を問わず、 これを救援する。



放射能と共存する「までい」の村


来年の話しをすれば、鬼が笑うというが、この知らせを聞けば、青鬼は赤くなり、赤鬼は青くなるだろう。

【出処】飯舘村HP


福島県相馬郡飯舘村は十一月五日に村内で開かれた行政区長会で、フクシマ核惨事後、自粛してきた農地の野焼きについて、「住民からの要請」を受け、来春の作付け準備期から条件付きで認める方針を示した。


その条件とは、①三月一五日から一か月に期間を限定、②実施圃場は作付け予定地のみ、③行政区内での住民合意、④村や消防機関への届け出、⑤消防団の立ち合いなど。菅野典雄村長は、「農業にとって野焼きは不可欠であり、村が責任を持って判断した。最低限の条件を守って行ってほしい」というが、そのことばにも、放射能被曝防止の配慮は一切ない。


福島県の担当者は、「震災後、野焼き容認を示す市町村は飯舘が初めてではないか。確実に安全とは言い切れないので、県としては自粛をお願いする立場に変わりない」というばかりで、上級官庁として通達なり指導なりに踏み切るつもりも、やはり一切ないようだ。


【出処】福島民友「原発事故の避難区域


飯舘村といえば、中心部、伊丹沢の村役場が福島第一原子力発電所から北西二〇・〇キロに位置し、二〇一一年三月十一日の東日本大震災・津波と核惨事勃発のあと、福島市方面に流れた放射性プルームがまともに通過した村である。 意図的なSPEEDI(緊急時環境線量情報予測システム)データ隠しなどのために避難が遅れ、四月になって、ようやく全村が計画的避難区域に指定され、六月までに、特別養護老人ホームの入居者と職員など、極一部を除く住民の避難が完了した。


翌二〇一二年六月になって、政府原子力災害対策本部が計画的避難区域を見直し、飯舘村内は行政区ごとに、①避難指示解除準備区域(年間二〇ミリシーベルト以下)、②居住制限区域(年間二〇ミリシーベルト超、五〇ミリシーベルト以下)、③帰還困難区域(年間五〇ミリシーベルト超、南部の長泥行政区のみ)の三区域に再編された。


その後、村民一人あたり一億円と揶揄される巨額の費用をかけて、除染事業が実施され、長泥を除いて、他の村内行政区すべての避難指示が昨年三月三一日に解除された。その後、避難者の帰還が進んだというものの、九月末現在の住民基本台帳人口五七〇〇人あまりに対して、十一月一日現在の村内居住者数は九三七人(四七五世帯)。



長泥行政区の避難指示解除は二〇二三年春ごろが目安とされ、解除後の居住を可能にする「特定復興再生拠点」の整備をめざして、今年九月下旬に除染事業が着手された。拠点区域は、 集会・交流施設、公園などを整備する「居住促進ゾーン」、神社や桜並木などを整備する「文化・交流拠点」、環境再生事業で農用地等を整備する「農の再生ゾーン」に三区分される。問題は、環境省所管「環境再生事業」。除染で発生した除去土壌の濃度分別を行って、園芸作物・資源作物の栽培実証試験のための農用地整備に活用するという。村内の除去土壌を長泥地区内のストックヤードに搬入する作業も始まったそうだ


飯舘村は「日本で最も美しい村」連合に加盟し、村のキャッチフレーズは、 「手間暇惜しまず、心を込めた、丁寧な」といった意味を表す方言「までい」である。


二〇一七年九月に退任した原子力規制委員会の田中俊一・初代委員長は、福島市生まれで伊達市育ちであり、この「までいの村」をこよなく愛しているのか、二〇一八年一月、村の復興アドバイザーに就任した。



その田中氏は、福島第一原発の敷地を埋め尽くすタンクの汚染処理水に含まれるトリチウム水について、「思考実験的に一か所に集めれば、ほんの五七ミリリットル、エスプレッソ用カップ二杯分」といって、青色の液体が半分入った小瓶を振って見せていたが、他にもさまざまな放射性核種が濾過されずに残っていることが暴露されたいま、沈黙しているようだ。


(井上利男。原発いらない金曜日!郡山駅前フリートーク集会・世話人。ブログ「原子力発電・原爆の子」、ツイッター:FukushimaWatch @yuima21c


#フクシマ☢惨事のあと、乳児の心臓障害手術が急増 @medical_xpress

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2019313


フクシマ核惨事のあと、乳児の心臓障害手術が急増



HealthDay情報】新たな研究によれば、フクシマ核事故のあと、先天性複合心臓疾患の手術を受けた日本の幼児の数が有意に増加したことが認められた。


惨事は20113月、地震と津波が福島第一原子力発電所を襲い、メルトダウンと放射性物質の放出を引き起こして勃発した。


研究者らは、2007年から2014年までの子どもの先天性複合心臓疾患手術に関するデータを分析した。


フクシマ核惨事以後の4年間で、日本全域における幼児の同種手術が14パーセント強ばかり増加していた。1歳ないし17歳の子どもたちの場合、有意な増加は認められなかった。


心臓のさまざまな発達段階で生じることが知られている先天性複合心臓疾患の有意な増加が認められた。


研究論文の著者らによれば、この知見は、障害が心臓の発達の初期段階におけるさまざまな時期に生じたのであり、特定の時期における単一の遺伝子に対する損傷の結果ではないことを示唆している。この論文は全米心臓協会ジャーナル(the Journal of the American Heart Association)サイトにて313日付けで公開された。


研究者らは、当該研究が核事故と先天性複合心臓疾患の直接的な因果関係を示すものでないことを指摘した。


名古屋市立大学、システム自然科学研究科の准教授、村瀬香(ムラセ・カオリ)は、「この研究は日本で起こった事象に注目したものですが、世界のどこでも起こりうる核事故の可能性は世界規模の健康上の懸念事項なのです」と述べた。


「わたしたちの研究は、核事故が先天性複合心臓疾患のリスクを増大しかねないことを示しています」と、彼女はジャーナルのニュースリリースで発言した。


先天性複合心臓疾患は胎児発育早期の諸段階で発症し、その結果、複雑で深刻な症状を招く。その帰結としての心臓の異常は多くの場合、生涯にわたる健康問題を引き起こしかねない。


妊婦がこうむる――失業、離婚、夫婦の別居、あるいは愛する人との死別など――ストレスは、なんらかの先天性複合心臓疾患を招くリスク要因になると知られている。研究者らによれば、フクシマ核惨事のさい、そのようなストレスが発生したと思われるので、先天性複合心臓疾患の急増における間接的な役割を担ったのかもしれない。


村瀬は、「核事故はわたしたちの一人ひとりに直接的な影響を及ぼす問題です。さらなる研究が必要であり、さもなければ、このようなタイプの事故による健康への影響を最小に抑えることができないでしょう」と述べた。


研究者らは背景説明で、ウクライナのチェルノブイリにおける1986年の核事故のあと、先天性心臓疾患の同様な増加が認められたと述べた。




Explore further



More information: The U.S. National Heart, Lung, and Blood Institute has more on congenital heart defects.

Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.


【クレジット】


Medical Xpress, “Newborn heart problems surged after Fukushima nuke disaster: Study,” posted on March 13, 2019 at https://medicalxpress.com/news/2019-03-newborn-heart-problems-surged-fukushima.html.


【参照記事】


大学ジャーナル

1歳未満の乳児に対する複雑心奇形手術の件数が2011年の福島第一原子力発電所事故後、全国で増加していることが名古屋市立大学の調査で分かった。原因については分かっていないが、研究グループは心臓発生の早期段階で広範な障害が発生した可能性があるとみている。

 調査は名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科の村瀬香准教授、医学研究科の心臓血管外科学教室が、日本胸部外科学会で収集した2007年から2014年までの先天性心疾患に対する手術データを解析。心臓発生の早期段階の障害が原因となる複雑心奇形の手術件数を原発事故前後で比較した。


【該当論文】


Journal of the American Heart Association

Kaori Murase , Joe Murase , and Akira Mishima

Originally published13 Mar 2019https://doi.org/10.1161/JAHA.118.009486Journal of the American Heart Association. 2019;8

Abstract

Background

After the Chernobyl nuclear accident in 1986, an increase in the incidence of congenital heart disease (CHDs) in the neighboring countries was reported. In 2011, Japan experienced the Great East Japan Earthquake and the nuclear accidents at Fukushima. However, a nationwide study of their effects has not been conducted yet.

Methods and Results

We used data covering the period between 2007 and 2014 from the annual surveys conducted by the Japanese Association for Thoracic Surgery, which included almost all of the operations pertaining to 46 types of CHDs in Japan. CHDs were divided into 2 groups based on complexity, the time of occurrence during heart development, and age at operation. We estimated the change in the number of the operations per 100 000 live births between preand postdisaster using a negative binomial generalized linear mixed model. Overall, a significant 14.2% (95% CI, 9.319.4) increase in the number of operations for complex CHDs in neonates and infants per 100 000 live births was found, whereas those performed for patients of 1 to 17 years old showed no significant change during the study period.

Conclusions

The number of operations for complex CHDs in neonates and infants in Japan significantly increased after the massive disaster, and its level was maintained thereafter. The number of operations for complex CHD was not equal but closely correlated to the live birth prevalence of complex CHDs. Therefore, some meaningful increase in the live birth prevalence can be assumed; however, the precise cause of the increase is unknown.





英紙ガーディアン【#フクシマ☢惨事から8年】避難者を帰還させた理由は?

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フクシマ惨事から8年、避難者を帰還させた理由は?


20113月の津波と核メルトダウンのあと、何万人もの人びとが避難を強いられた。帰還した人は4分の1にも満たない。何人かの帰還者にその理由を聞いた


20192月、大熊町にて、雑草で覆われている放置車両。Photograph: Issei Kato/Reuters


2011311日、史上最大規模の地震が日本の北東部沿岸を襲い、津波を引き起こして、19,000人近くの人びとが死亡した。津波の破壊力はまた、さらなる脅威――福島第一原子力発電所の三重メルトダウン――を引き起こした。


放射能によって幾万もの人びとが避難を余儀なくされ、町や村は立ち入り禁止区域になった。今では、原発に最も近い地域の時間が止まっている。家屋が荒れ果て、雑草、その他の植物が舗装、道路、かつては手入れが行き届いていた庭を覆いつくし、イノシシなどの野生動物が街路をうろついている。


だが、少し離れると復興の兆候が見受けられ、新しい店舗、レストラン、公共施設が帰還を決めた少数の人たちにサーヴィスを提供している。鉄道事業が修復され、道路は再開通された。東京2020オリンピック聖火の日本全国周回リレーは、かつて危機対応基地であったが、今はサッカーのトレイニング複合施設としての元の役割に修復されたJヴィレッジをスタート地点にしている。


だが、達成されたのはささやかなものである。人間の居住に対して安全が宣言された地域であっても、住民の多くは、放射能不安、とりわけ彼らの子どもたちにとってのそれ、そして医療施設やその他の社会基盤の不足を言い立て、戻らないと決めた。政府統計値によれば、事故後に立ち入り禁止が宣言された地域の住民の23%だけが帰還した。


福島第一原発の作業員らは膨大な量の放射能汚染水を相手に闘い、施設解体は少なくとも40年かかると予測されている。オブザーヴァーは(チェルノブイリに次ぐ)世界第二の重大核惨事から8年たって、かつて立ち入り禁止区域と宣言された地域で――自分たちの古里と呼ぶ場所で働き、学び、薄明の歳月を過ごすために――暮らしを再開した住民たちに面会した。


地主


ササキ・セイメイは避難者用の仮設住宅で暮らす8年のあいだに地元の名士になった。彼は毎度の早朝体操の日課によって郷土意識を培った住民集団に属していた。彼は齢93歳にして運転熱心であり、一族が500年近く前に根を下ろした小高地区内の道路上で見かけられた。この大土地・森林所有者は堂々とした時代物の木造家屋に戻ったばかりである。息子3人とそれぞれの家族が近くに住んでいるが、彼はたとえ長くひとり暮らしをするとしても――サムライのご先祖に由来する決意だといって――自分の面倒は自分でみると言い張る。隣近所に230人が住んでいたが、帰ってきたのは23人だけ――それも、平均年齢が70歳を超えている――と彼はいって、その姓をスラスラと挙げた。「村の将来の姿がどうなるか、想像もつかない。村がゆっくり死んでいくのが恐い」


自宅の前に立つササキ・セイメイ――彼は村がゆっくり死んでいくと恐れている。Photograph: Justin McCurry/The Observer


それでも、ササキは楽観的に生きようと努めている。「わたしは申し分なく健康だし、避難者なので、デイケア・センターが無料で使え、仮設住宅にいたときの友だちと連絡を取り合っている」。


姉妹


コンノ・エリコ、ルミコの学校では、先生の注意を引くことは滅多に問題ない。この姉妹は、原子力発電所から4キロほど、なみえ創生小・中学校に通うわずか7名のうちの2名である。全天候型サッカー競技場を完備する、この新たな学校は、避難命令が一部解除された2017年からこのかた、被災前の人口21,000名のうち、900名が帰還しただけの浪江町に若い家族を呼び戻すために政府資金によって建設された。


姉妹の母親、マユミは、「娘たちを戻すかどうか、迷いました。でも、1年たった今、娘たちは落ち着き、わたしも新しい仕事を見つけ、わたしたちは正しい選択をしたと心から思います」という。学校はさらに4月からの新学期に6名の新入生を迎える。


コンノ・ルミコ(左)とエリコは、団体競技ができたらよかったのにと思っている。Photograph: Justin McCurry/The Observer


校長のババ・リュウイチは、「これまでの1年間で、生徒たちは大きく進歩しました。生徒たちの一番大きな不満は、団体競技ができないことです」という。11歳のルミコと8歳のエリコは、ドッジボールや隠れんぼ遊びができなくてつまんないという。ルミコは、「もっと同級生がいたらと思うけど、そうなれば、別の問題が持ち上がるかもね」という。


姉妹は授業で津波と原発事故について教えられたが、幼すぎて覚えていない事柄と関連付けるのは難しい。「8年前のことなので、本当は考えることもありません。いま自然災害と闘っている人たちのほうが心配です」と、ルミコはいう。


米作農民


ネモト・コウイチが3年前、福島の桃内集落にある彼の農地に初めて帰ってきた時の夢は、自分の家族がたっぷり食べられるだけの米を作付けすることだった。だが、米作が御法度だったので、待たなければならなかった。ネモトは、「試しに作付けして、検査してみました――政府が定めた放射線限度をかなり下回っていました。それでも、自分の米を食べるのは法律違反になりますので、捨てなければなりませんでした」という。


ネモト・コウイチは、自分の米は常に雑草に打ち克っているという。Photograph: Justin McCurry/The Observer


現在、作付け制限は解除されており、この齢81歳の福島県における有機農業界の先駆者は米の販売目的栽培を再開し、近場の酒蔵、スーパーマーケット、レストランに卸している。ネモトは、「田んぼを打ち捨てるなんて、考えたこともありません」という。「福島産米について、当初は有害な風評がありましたが、考えが変わっていっています。わたしの知り合いや親戚は、検査されていない他県産の米よりも、当地産の米を食べることに安心しています」


果たして米作りを再開できるのだろうかと思い惑いながら、避難者の境遇で過ごした歳月とは大違いである。それにしても、避難命令が解除されて、家業を再開すると決めた桃内住民は、ネモトを含めて8人だけであり、例外的だった。だが、彼は今日このごろ、水田にはびこる雑草よりも放射能のほうが気がかりにならなくなっているという。「有機農法の場合、雑草はつきものなのです。でも、わたしの稲はいつも最後に勝ちます」と、彼はいう。


旅館経営者


コバヤシ・トモコとタケノリは、原子炉建屋の一棟が爆発したと聞いたときに貴重品を掻き集め、トモコの家族が4世代に渡って暮らしてきた小高区の伝統的な宿屋、双葉屋旅館から逃げた。彼らは、2、3日で戻れると信じていた。トモコは、「最初に津波と原発事故の映像を視たとき、わたしたちは避難センターにいたのですが、その時になって初めて、これは大変だと思い知りました」という。


コバヤシ夫妻は、小高の避難命令が解除されたあと、20166月まで帰還しなかった。自宅付近が立ち入り禁止だったころ、トモコは短期訪問を繰り返し、旅館の維持管理をし、近所の鉄道駅の外に花を植えた。彼女は、「わたしたちは、みずからの足で戻ると決めていました」という。夫妻は放射線と食品の安全性について、またたく間に熟練者になった。タケノリは、「わたしたちは7年にわたり、地域社会のために食品を検査しており、安全だとわかっています。それで、戻ってきて、再出発する自信が与えられました」という。双葉屋の客には、もっとフクシマについて知りたいという好奇心を抱いた海外からの訪問者らもいる。トモコは、「わたしたちは、人びとが当地に滞在して、ここで起こったことの真実をよりよく知ったと感じながら、お帰りになっていただきたいと願っております。でも、楽だったと装うことはできません――極めて苦しい時期が何度かありました」という。


酪農家


サクマ・テツジは8年前、祖父が第二次世界大戦の直後に築いた酪農場の破壊を阻止するにしても無力だった。核メルトダウン後の日々、130頭いた乳牛 の一部は死に絶え、その他は牧場に売られたり、屠殺されたりした。数千リットルの牛乳が廃棄された。


サクマはそれでも現在、2017年末に福島産生乳の出荷禁止が解除されたあと、家業に復帰している。厳密な検査の結果、彼の牛から搾乳した生乳の安全性は示されているが、当初は購入見込み客の圧倒的な疑心暗鬼が課題になった。


サクマ・テツジは長年、酪農を成功させるために働いた。Photograph: Justin McCurry/The Observer


サクマは20年以上前、葛尾村の農場を父親から相続しており、「わたしは放射能のことを勉強し、安全性について、どんな質問にも答える準備ができていました」という。


他の農民の多くは、家業を再興するにも歳を取りすぎているし、自分の作物がフクシマにまつわる連想で永遠に汚されているだろうと恐れて、土地の売却を決めた。被災前人口の20%だけ――つまり300人程度――が戻ってきた。サクマは、「よそでの暮らしが永くなればなるほど、戻ってくるのが難しくなります。だが、わたしたちはこの農場を成功させるために、この歳月、一生懸命に働きました。牛舎を自分たちで建て、牛舎はいまでも建っています。わたしは農家の息子として、農場を再開し、当地でさえ、なんでもできると人に示すのだと決意しました」という。



コバヤシ・トモコとタケノリの宿泊客には、好奇心の強い国際色豊かな訪問者もいる。Photograph: Justin McCurry/The Observer


【クレジット】


The Guardian, “Eight years after Fukushima, what has made evacuees come home?” by Justin McCurry, posted on March 10, 2019 at https://www.theguardian.com/world/2019/mar/10/fukushima-eight-years-on-evacuees-come-home?CMP=share_btn_tw.







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